そこで「交換はできません」と言うと、「冗談じゃないわよ。店長を呼んで」と大騒ぎする。仕方ないので「返金しましょうか」と提案したのですが、「お金の問題じゃないのよ」と言い始める。おそらく誰かに文句を言いたいだけなんだと思います。
お年寄りが、高級観葉植物の枝を…
──自分が枯らしたのに、その行き場のない怒りを店にぶつけてくる。
上野 店のせいにしたいのでしょう。子どもがサボテンを触って「痛い」と泣き出し、母親がクレームをつけてきたこともありました。普通に棚に置いて陳列していたのに「なんであんな場所にサボテンを置いておくのよ! 危ないじゃない、子どもがケガしたら責任取れるの?」って。加えて、観葉植物で意外に多いのがお年寄りによる万引きです。
──お年寄りが観葉植物を万引きするんですか?
上野 葉や枝を手でちぎったりして持って帰るんです。観葉植物は、切り取った枝を「挿し木」や「水挿し」にすると、1カ月ほどで発根します。万単位の高価な観葉植物も葉っぱさえあればやがて大きく育つので、悪気もなく切り取ってしまうのでしょう。
これまでのケースを見ると、そういうことをするのはお年寄りの女性が多い。葉や枝を切って持ち帰るだけでも立派な窃盗だということがわかっていないんだと思います。
大きなリュックに無理やりテレビを詰め込み…
東京郊外のホームセンターで働き始めて4年目の清水麻理恵さん(仮名、31歳)も「ホームセンターは万引きが多い」と証言する。なかでも衝撃的だったのは、30インチ台の4Kテレビをはじめとする総額十数万円の電化製品の万引き事件だという。
──30インチ台の大きなテレビをどうやって万引きしたんですか。
清水 サンプルとして店舗の入り口付近に陳列していた商品だったのですが、営業終了後にテレビが1台なくなっていることに別の従業員が気づいたんです。監視カメラで確認すると、男性が大きなリュックに無理やりテレビを詰め込み、入店していたときに着ていたジャージの上着をリュックに被せてカモフラージュし、何食わぬ顔で店から出て行っている。