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2008年の公開時も大ヒットだったが…なぜ福山雅治vs.堤真一の『容疑者Xの献身』は「2024年のほうが“胸に突き刺さる”」のか

2024/03/23

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画, テレビ・ラジオ

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 東野圭吾の連作推理小説を原作に据え、福山雅治主演で人気を博してきた『ガリレオ』シリーズ。

 第1シーズンが2007年10月期にフジテレビ月9枠で放送されて以降、第2シーズン(2013年4月期/フジテレビ月9)、スペシャルドラマの『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』(2008年)、『ガリレオXX 内海薫最後の事件 愚弄ぶ』(2013年)、『ガリレオ 禁断の魔術』(2022年)、劇場版では『容疑者Xの献身』(2008年)、『真夏の方程式』(2013年)、『沈黙のパレード』(2022年)と、15年にわたり、ヒットを続けてきた。

芸人も一般人も湯川調で言ってしまった「実に面白い」

 基本的に犯人を推理するのではなく、あらかじめ犯人が犯行に及ぶ様子を視聴者に見せ、そのトリック暴きを主とする『刑事コロンボ』シリーズや『古畑任三郎』シリーズとも似た倒叙方式となっている。

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ドラマ第1シーズンの第1話。記念すべき湯川学(福山雅治)と刑事・内海薫(柴咲コウ)の初対面シーン(『沈黙のパレード』公式Xより)

 しかし、人気の理由には仕掛けられたいくつもの画期的な“発明”があるだろう。

 1つは、原作者の東野圭吾による「物理学者が主人公のミステリー」という点。

 多くの謎解きでは刑事や探偵が主人公となるが、本作の場合、不可解な未解決事件を解決に導くのは、刑事でもなければ探偵でもなく、物理学者。そのため、あくまで科学的視点から仮説を立て、実験、検証、立証するアプローチが新鮮である。

 さらに、ドラマではそれをスター・福山雅治が演じ、演出の数々の「発明」が加えられ、風変わりでポップで愛すべきキャラクターとなっている。ドラマや映画で『ガリレオ』を全く観たことがない人でも、『ガリレオ』と聞くだけで、脳内にあの印象的なメロディーが流れ、白衣+メガネに、左手3本の指を使った「フレミングの左手の法則」で顔を覆う独特のポーズ、数式を書きなぐるシーン、クセ強の喋り方での決めゼリフ「実に面白い」「さっぱりわからない」が即座に浮かぶ人がほとんどだろう。

 実際、キャッチーさゆえに、“福山芸人”みっちーや大山英雄、“誇張しすぎた福山雅治”のハリウッドザコシショウをはじめ、多くの芸人にモノマネされてきたほか、一般人でも無意識に「実に面白い」と湯川調で言ってしまったことがある人は多いのではないか。

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