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「頼もしくなった」「また、夏がある」日本航空石川野球部 惜敗の甲子園で見えた次の道

「頼もしくなった」「また、夏がある」日本航空石川野球部 惜敗の甲子園で見えた次の道

日本航空石川センバツ出場秘話#2

source : 週刊文春Webオリジナル

genre : ライフ, 社会, スポーツ, 教育

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父と兄は甲子園常連校・野球部のOB

 父の和之さん、兄の大輝さんはともに、富山県の甲子園常連校・高岡商業の野球部のOB。父は高2の時、兄は3年連続で甲子園に出場している。

「父や兄が進学した高岡商の野球部には女子マネージャーの制度がなかったので、県外を含めて進学先を探しました。中3の10月に航空石川の見学に行って、中村監督のお話も聞くことができて、越境入学を決めたんです」(同前)

 その選択は間違っていなかった。彩弥さんは、さっそく甲子園出場の夢を叶えることができた。父の和之さんが目を細める。

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「息子の時で甲子園は終わりかなと思っていましたが、娘の代で、また甲子園に来られるなんて。こんなに嬉しいことはありません。娘は『ここ(甲子園)に来たい!と言って、来ることができた。また必ず来る』と言っています」

 選抜では常総学院に敗れ、初戦突破とはならなかったが、試合後、彩弥さんは前向きにこう語った。

「まだ春だし、『次(夏)があるよ』って、みんなに声をかけます」

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野球部OBたちも応援に

試合の日は小雨そぼふるコンディション Ⓒ文藝春秋

 一方、航空石川を応援する一塁側アルプス席には、この3月に卒業式を迎えた野球部OBたちも応援に駆けつけていた。昨年夏、背番号12の捕手としてメンバー入りしていた武諒成さんが語る。

2度の雨天順延があった Ⓒ文藝春秋

「同期5人で応援に来ました。試合予定だった23日、翌日の24日と、土日の2日間が雨天順延になってしまって。大学で野球を続ける同期はもう練習が始まっているので難しいですが、土日の試合だったらもう少しOBが来られたかもしれません。昨日(24日)、野球部の後輩に連絡をしたんですよ。すると、午前9時に始まる第1試合なので、毎日4時に起きていると。コンディションの調整が難しいと言っていました。でも、いざ試合が始まると、去年の秋の大会で見た時よりも大きく成長していて、とてもカッコよかった。甲子園は、僕たちも行きたかった憧れの大舞台。野球部で一緒に過ごした後輩たちが、その甲子園で善戦した。誇らしく思います」