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台本は「喋り言葉」で書いてはいけない…トークが苦手だったオードリー春日を変えた"放送作家の乱暴な秘策"

source : 提携メディア

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ

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どうしてもトークに苦手意識がある人の場合は、相手役としてアナウンサーが入るケースもあります。仲のいいアイドルと二人でというケースも。相手がいればなんとかなる。一人で喋るのが大変なのです。そこを手助けするのが、ディレクターや放送作家。

「上手くなる=面白くなる」ではない

といっても、私たちだって二十代半ば。世間でいえば若造ですが。ただ、こっちはアイドル番組を何本か経験してやり方がわかってきています。

「そこは、もうちょっとわかりやすく説明した方が伝わりますよ」「そういう言い方だと誤解されるかもしれない。ちょっと言い方を変えてみたらどう? たとえばこんな風に……」とか。本人が喋ろうかどうしようか迷っている時は、「ファンはそういう話こそ聞きたいと思う」などのアドバイスができます。

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そうやって番組を三カ月もやっていると、彼女たちはしだいにトークが上手になるのです。いえ、面白いことを言うとかそういうことではありません。日常にあったことをわかりやすく語ったり、自分の気持ちをちゃんと自分の言葉で言えるようになる。誤解がないように言葉も選べる。なんだそんなこと……と思うかもしれませんが、人はこれが意外にできないものなのです。

その頃、テレビではベストテン番組が花盛りでした。アイドルは番組で歌う前後に、司会者に短くインタビューされたりします。私はテレビを見ていて、ラジオをやっているアイドルとやっていないアイドルでは、受け答えが違うことを発見しました。

ラジオ番組をやっていないアイドルは、司会者の質問に「ハイ!」「そうですね」「嬉しいです」などの簡単な返事が多い。おそらく誰にも嫌われないために、マネージャーに教えられた無難な受け答えなのでしょう。いえ、それでもいいのです。可愛い女の子がニコニコ笑顔で答えていれば、ファンは十分に喜んでくれます。

ラジオ経験の有無はアイドルをどう変えるのか

ラジオ番組をやっているアイドルは、もちろんニコニコと答えるのですが、それに加えて「私は****なんです」とか「それは****だから苦手です」など、自分の気持ちや考えが言える。そして結果的に、そういう風にちゃんと喋れるアイドルが消えずに残っていく。