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台本は「喋り言葉」で書いてはいけない…トークが苦手だったオードリー春日を変えた"放送作家の乱暴な秘策"

source : 提携メディア

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ

note

同じ内容を語るにしても、人それぞれに喋り方は違うはず。

「最近、街はイルミネーションがきれいじゃないですか」
「子供の頃はね、クリスマスがすごく楽しみだったんですよ」

などと自分なりの言い方で喋ってもらうため、あえてそっけなく書いているのです。○とか*などの記号が多く、(  )で囲んだ部分があるのも同じ理由。キチンとした文章で書いてしまうと、喋る時どうしてもそれに寄っていき、原稿を読んでいるようなトークになってしまう。それが人間の心理です。

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聞きたいのは本人の気持ちが入ったトークであって、用意された原稿を読む朗読ではないのです。

なぜ政治家の発言は「心がこもっていない」ように聞こえるのか

少し話が飛躍しますが、記者会見で質問に答える政治家が、役人が書いた文章を読んで答えている時のことを思い出してみてください。いちおう「私はこう考えている」という内容を喋っているのですが、あの「心がこもっていない感じ」といったら!

あの場合は、他人が書いたものを読まされているとあえてアピールする(つまり、俺は悪くないと態度で示したい)ために、ああなっているのでしょう。一方、用意された原稿のない内輪の会合などでは本音で喋って、うっかり誰かを傷つける失言をしてしまう。こっちの方が人間性が出るということがよくわかります。

「自分の気持ちを、誤解されないように、自分の言葉で喋る」という点で、政治家はラジオ番組でのアイドルに学んだ方がいいのかもしれません。飛躍しすぎました。番組のトークに戻ると、これは他人が書いた進行台本に限りません。自分で喋るために、自分でメモを作っておく場合も同様です。

オードリー春日のメモを捨てたワケ

「オードリーのオールナイトニッポン」の最初の頃、私は春日さんとも事前にトークの相談をしていました。アレコレ話をして「だいたいその方向でいきましょう」となると、春日さんは喋る内容を簡単にメモします。それはいいのです。