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台本は「喋り言葉」で書いてはいけない…トークが苦手だったオードリー春日を変えた"放送作家の乱暴な秘策"

source : 提携メディア

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ

note

○大人になってからもらったクリスマスプレゼントは?
*プレゼントはもらうのも嬉しいけど、選ぶのも楽しい。

○毎年この季節には、サンタのトナカイのソリを追跡するサイトが人気。
(見たことありますか?)
*あれは、「北アメリカ航空宇宙防衛司令部」という組織がやってますが、たぶんやってる大人たちも楽しんでる。

○クリスマスは、子供の時、大人になった時、それぞれで違う楽しみ方があるんですね。
〜などご自由に

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だいたいこんな感じでしょうか。どうってことのない進行台本です。やや昭和のアイドルっぽいのはご愛敬としてお許しください。こういうのでいいのなら、誰だって放送作家ができそうです。

台本はあったほうがいい、でも無視してもかまわない

でもしかたがないのです。だって、作家はアイドルのAちゃん本人ではない。彼女がどんな子供時代を過ごしたか知らないし、どんなクリスマスの思い出があるかも知らない。アイドルになって、いま現在、クリスマス前にどんな日々を過ごしているのかも知らない。知らないことは書けないし、嘘を書くわけにもいきません。結局、彼女が喋るためのキッカケ作りをしているだけの台本。おおまかな道筋を提案しているだけです。

他の放送作家の名誉のために言っておきますが、これはかなりラフなトーク台本です。私だって、もっと詳しく、エピソードを書き込んだ台本を作ることの方が多い。とくに初対面の場合や、生放送の時、一回だけの特番の時はそうです。喋り手と作家の距離感によっても書き方は違ってきます。

この例は、レギュラー番組ですでに数カ月やってきて、お互いの気心がわかってきた頃。初めて、番組がクリスマス前の放送を迎える時です。そしてトーク台本の特徴は、「場合によっては、まったく無視してもかまわない」という点。書く方も喋る方もそういう共通認識でいた方がいい。そしてそれでもなおかつ、トーク台本はあった方がいい。