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【Kis-My-Ft2の横尾渉と二宮和也の共通点】二宮との結婚で炎上した“元アナ妻”A子さんの「暴力的な”匂わせ”行為」を社会人類学で分析

source : 週刊文春デジタル

genre : エンタメ, 芸能, 音楽

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“匂わせ行為”はなぜ罪深いのか

 ジャニーズファンも様々ですが、“匂わせ”をしたA子さんとの結婚に怒っているのは、“大人なファン”が多いというのが私の印象です。大人なファンというのは、アイドルが「虚像」だと理解したうえで応援している人達です。

 私もいわゆるジャニオタですが、アイドルも1人の人間で、私ではない誰かと恋愛をして結婚もすることくらい、重々承知しています。なかにはあわよくばプライベートでも繋がりたいと思ってストーカー行為に走る“ヤラカシ”と呼ばれるファンもいますが、良識ある大人のファンは「好きなアイドルにはプライベートでも幸せになってほしい」と願っているんです。

嵐メンバー ©JMPA

 この大人なファンの心理状態は、社会学者の大澤真幸氏によるところの「アイロニカルな没入」だと言うことができるでしょう。みんな「結局アイドルとは恋人同士にはなれない」と斜に構えて冷静に見つつも、コンサートへ足繁く通い、CDやグッズを買いまくり、アイドルを目にしたときには「愛してる~!」「結婚して!」と叫んでしまう。本人は冷静だと思っているけど、はたから見ると我をなくして熱狂しているように見える。この状態がアイドルビジネスを健全な形で支えているのです。

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 そしてこのファンによるアイロニカルな没入は、アイドルとファンの“共犯関係”によって成立しています。

 例えば週刊誌にアイドルが熱愛写真を撮られたとき、少なくないファンが熱愛の事実ではなく、「こんな写真を撮られるなんて無防備だ」「アイドルとしての自覚がなさすぎる」と、その事実を隠しきれなかったことに怒りの声を上げます。アイドルとファンはお互いが騙し騙されていることを自覚しながら関係を構築していくという、高度なメタ・コミュニケーションを行っているのです。

ニノ直筆の結婚報告

 そうして大切にあたためてきた共犯関係を崩しうる脅威が“匂わせ”なんです。しかもその脅威はアイドル側からもたらされる。ファンからすると裏切り行為に他なりません。そして今回ニノは、ニノとファンの関係を崩壊させる“匂わせ”に手を染めた女性を人生の伴侶に選んだわけです。いくら大人のファンといっても、愛するアイドルの幸せを願えないのも仕方がないことではないでしょうか。

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