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致命的な怪我から復帰を目指す控え捕手の西武・岡田雅利が先輩にも後輩にも愛される理由

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/06/12
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自分が岡田のような怪我をしていたら……

 僕は17年間のプロ野球生活の中で、チームを離れなければいけなくなる怪我をそれなりにした。だが不幸中の幸いで、大きな手術をして長期間プレーできなくなることはなかった。

 それでも、ともに戦うチームメイトが大怪我を負って手術し、長期間のリハビリ生活を送る姿を数多く見てきた。孤独で地道なリハビリの日々は本当に大変そうで、本人にしか分からない苦痛があるように感じた。

 僕の場合、数週間、数ヶ月間単位の戦線離脱をした経験はある。1シーズンをリハビリに費やす岡田に比べるとはるかに短い期間だが、それでも地味なトレーニングや野球とは程遠い動きしかできない状態が毎日続くと、精神的に辛くなっていった。

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 本当に完治して、野球ができるようになるのだろうか……。

 ふと、そんな不安が脳裏をよぎることもあった。

 もし自分が岡田のような怪我をしていたら、野球を諦めていたかもしれない――。

みんなに愛される男の素顔

 2014年、岡田は社会人野球の大阪ガスからライオンズに入団した。僕が一緒にすごしたのは2年間だけだったが、初めてファームで彼のプレーを見たとき、予想以上に優れた選手だなと思った(笑)。

 小柄だが、動きが俊敏で送球も安定感があり、何より岡田がキャッチャーを務めているだけでチームの雰囲気がいい感じになった!

 しっかりピッチャーをリードして、引っ張っていく。ジェスチャーも大袈裟すぎるくらいにやる。

 打撃もシュアで、小技も効く。捕手としては走力もあり、万能な選手だ。いいキャッチャーの要素を1年目からすでに持ち、グラウンドで発揮していた。

 1年目に一軍と二軍を行き来すると、2年目から一軍に定着。経験を重ねる中で、ライオンズに欠かせない存在になっていった。

 プレー以外でも、チームに与える影響力は大きい。とにかく明るい岡田は、先輩にも後輩にもファンにも愛され、僕もライオンズ時代には元気をたくさんもらった。

「おかちゃん、おはよう」
「よねさん! おはようございます!!」(超笑顔)

「おかちゃん、お疲れー」
「よねさん! お疲れ様でした!!」(超笑顔)

 今でも、たまにだがメールをさせてもらう事があるが、笑顔スタンプを忘れないスマイリー岡田くん。

 お世辞ではなく、日本代表に“4番手捕手”という枠があるなら岡田で決まりであろう。ピンチバンターもできるので(笑)。

 今思うと、おかわりくん(中村剛也)には癒しを、岡ちゃんには元気をもらっていました。ありがとう! やっぱり大阪桐蔭はすごいな。

 ライバルであり、高校の後輩でもある森友哉がオリックスに移籍して、ライオンズの捕手陣は手薄になった。また、同じくムードメーカーで仲の良かった熊代聖人も昨年引退して二軍コーチに就任しただけに、今のチームには欠かせないピース岡田!

 2021年にFA残留を決めた時に、岡田は言った。

「ライオンズが大好きだから。ただそれだけです!」

 みんなも岡ちゃんが大好きだぜ! 愛してるぜ~! 君の帰りをみんな待ってるよ!

 はやく、岡田の「森つぶし」が見たい(笑)。

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