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「東大卒エリート」の存在感は、なぜここまで薄くなったのか

2019年の論点100

2019/01/18

 2017年10月の衆議院議員選挙で、東京大出身の国会議員(衆・参)は133人となった。2位は慶應義塾大(76人)、3位が早稲田大(71人)。18年10月に発足した第4次安倍晋三改造内閣の閣僚のうち、7人が東京大卒だった。

 政治の舞台で「東大卒エリート」は活躍しているように見える。だが、存在感はいまひとつだ。権力を誇示し、メディアに睨みを利かした閣僚に東京大出身者が少ないからだろう(以下、出身校)。

 安倍首相(成蹊大)、麻生太郎財務相(学習院大)、菅義偉官房長官(法政大)、世耕弘成経産相(早稲田大)、河野太郎外相(米ジョージタウン大)。

©iStock.com

安倍政権の中枢は2世3世議員が多い

 かつて東京大卒、官僚経由の政治家がリーダーとなり、重要閣僚を占めていた時代があった。

『文藝春秋オピニオン2019年の論点100』掲載

●第3次佐藤栄作内閣(1970年) 佐藤首相、福田赳夫蔵相、愛知揆一外相、宮澤喜一通産相、坂田道太文相、中曽根康弘防衛庁長官

●第3次中曽根康弘内閣(1986年) 中曽根首相、宮澤喜一蔵相、倉成正外相、後藤田正晴官房長官

 彼らに比べて、第4次安倍内閣の閣僚を軽く感じてしまう。安倍、麻生、河野など現政権中枢に鎮座する政治家は2世3世が多い。政治家としての適性を云々する以前にすんなり当選し、苦労知らずで、勉強不足な面があることも要因の一つだろう。それが国家観の薄っぺらさ、ときに言語感覚の貧しさを示してしまう。

 もちろん「東大卒エリート」がベストではないが、国のリーダーが知性や教養に基づく国家観を感じさせないのは、国民にとって不幸である。

 一方、安倍政権を支える官僚には「東大卒エリート」が揃うが、政権に忠誠を誓うばかりに社会通念に反した言動が見られた。官僚中の官僚、エリート中のエリートである財務省元幹部の佐川宣寿、福田淳一などは、抜群に頭が良く、難問も短時間で大量に答えられる神童と言われた。官庁での政策立案、国会での質疑応答をこなすためには、こうした神童的な事務処理能力が求められる。佐川、福田の仕事ぶりは完璧だった。

 しかし、彼らは国民のために仕えることより、安倍政権の優等生であることに執心した。時のめぐり合わせで“安倍晋三教室”の生徒となり、そこで100点満点を取りたかったのだろう。佐川は文書改竄、福田はセクハラ。当然、国民から怒りを買い、信用を失墜させてしまう。