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 安藤事務所に仕事を頼んだ人たちは、これら図面を見せられたとき、思わず背筋を伸ばしたんじゃなかろうか。つくる側の人間が気迫をたたえて事に当たっているのがわかるから、居住者・クライアントも自身の責任と自覚を新たにせざるを得ない。

 1枚の図面を挟んで、建築家と依頼主が真剣勝負する時間が、かつてあったことだろう。会場で図面に没頭していると、そんな様子を容易に想像できる。

 

夢を描く図面は「設計者の言葉だ」

 あらゆる角度からの平面図や模型などとともに、完成時のありようを描いたスケッチも多々展示されていて、こちらはひたすら美しい。青や緑で淡く色付けされて、その建築プロジェクトが成ったあかつきにはどんな「場」が現れるのかを、端的に示している。

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 やがて訪れる「夢」を明確なかたちにして掲げ、それを成すための現実的な方策をとことん突き詰めていく。そうか建築にかぎらず、何かをつくり上げるときに必要なプロセスが、これ以上なくわかりやすくここに開陳されているのだ。

 展覧会開催に合わせて安藤忠雄本人は、

「図面は設計者の言葉だ」

 との言葉を寄せている。ひと通り展示を観たあとには、このひとことに誰しも深くうなずけるはずだ。