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「ATM婚」と蔑まれて「お小遣い2万円倶楽部」入りする残念な男性の結婚事情

貧乏人なら結婚もできない昨今に

2019/07/18
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結局男は働き、女は家庭に

 そう考えると、社会風土が大きく変わらない限り、男性には引き続き家庭内での稼ぎ頭として、大黒柱としての機能を期待されていて、出産や介護、傷病となると収入の少ない女性の側がキャリアを捨てて産休や育休、介護にと時間を遣わなければならなくなっていく構造にはあまり変わりがないように思います。

 女性に企業幹部や取締役が少ないのも、女性が国会議員にならないのも、都市部に住むインテリが一生懸命「女性に社会進出を!」と言ったり安倍晋三さんが「女性はもっと輝けよw」と煽ったりしたところでミリの単位でしか解決しないんじゃないのかなあと思います。

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 さらに先日、大正大学の田中俊之准教授が「日本人は家父長制のお父さんがすべてを支配するような家族形態以外のものが正直よく分かっていない」と正論をぶっ放して、非日常である恋愛と、日常生活そのものである結婚とを比べてはならないと解説しておったわけです。

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シングルマザーも実家太けりゃ問題なし

 ということは、非日常の中で「より良い伴侶を選ぶ」ことを考えて、女性は自らの価値観で「自分よりも高い収入をもっている男性と結婚したい」なぜならば「結婚した後でお金に困る生活をしたくないから」という内閣府の調査結果は、皮肉にも古い日本の価値観をストレートに体現することになります。夫のほうが収入が多いことを期待し、それは経済は夫、家庭は妻という従来の日本文化の踏襲以外の生活を想像していないことになるので。

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 身の回りのシングルマザーで、どちらかというと経済的に楽な人たちというのは、実家が太い(なぜか不動産を持ってたりする)とかしっかりとした専門を持っていて、高給取りで子ども2人ぐらいなら余裕で育てられるという前提になっている。もちろん、稼ぎ頭の夫がいなければ貧困まっしぐらのシングルマザーも少なくないのですけど、同じシングルでも同じように貧困であり可哀想という枠でくくるのはむつかしい時代になっていると思うんですよね。

 結婚とお金の問題は切っても切れないものですが、似た価値観で幸せに末永く暮らせる人を探すことのむつかしさってのは意外に針の穴を通すぐらいのものなんだろうと漠然と感じます。そのうち、ATM男解放運動でも始まるんじゃないでしょうか。

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「ATM婚」と蔑まれて「お小遣い2万円倶楽部」入りする残念な男性の結婚事情

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