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現職の外交官としては異例の現場報告

 道上総領事はこの9月、徴用工像阻止を勲章(?)にソウルにある国際機関「日中韓三国協力事務局」の事務局長(大使級)に転身したが、これまで韓国勤務は大使館、総領事館で計10年になる。北京勤務もしている。ソウルと北京の双方で日本大使館文化広報院長を経験した例は珍しい。キャリア外交官では数少ない韓国通で韓国語も完璧である。
 
 その道上氏が釜山からの転身を機に、月刊「文藝春秋」10月号に「韓国を覆う危険な『楽観論』の正体」と題し、“徴用工像攻防戦”をはじめ、これまでの韓国経験を総括する原稿を書いている。

文在寅大統領 ©共同通信社

 現職の外交官としては異例の現場報告で、韓国に対しては当然、〈自分の主観を極大化させて、国家や相手が目に入っていない。ふつうの日本人が韓国に失望し、心が離れている等の基本構図が目に入らない〉などと厳しいが、日本にも注文をつけている。彼自身の韓国側との数多くの対話経験を紹介しながら〈オールジャパンでしっかり日本側の立場を発信し、説明すること〉の重要性を強調しているのだ。

文藝春秋10月号

 特にいわゆる日韓交流などにおける日本側の「物わかりのいい態度」が韓国側に誤解を与えていると道上氏は苦言を呈している。現状の“日韓外交戦”を念頭においたものとしては、〈『国際スタンダードに即し、客観性のある姿勢』という日本の長所を維持すること〉だといい、〈国際社会から中韓と同じレベルか?〉と思われないようにしなければならない――と提言している。道上氏の原稿は、韓国、韓国人との付き合い方に関し多くのヒントを与えてくれるだろう。

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