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2017/05/02

「ザ・ポジション」女王の風格

 思えば指原さんこそ「ザ・ポジション」で生き残っていった人。大所帯アイドルの中でどうやって自分を見つけてもらうかを見極め、見つけてもらってからはどう領土を拡大していくかを練り、ある程度の基盤を固めたらあとはそこを「ポジション化」した、いわばアイドル界の土地転がし。この短い発言にはアイドル地上げ王たる風格すら漂っているように感じるんですよ。「AVに行ったのは自分で選んだ道」というところで、「自分は(彼女が自ら選んで入った)AV業界に差別意識はない」ということをまず明確にする。松嶋尚美も「別にどの世界に行こうといいの、この子が楽しかったらいいと思うし」と同様のコメントをしていましたので、好感度女性タレントたちは「ここがリベラルな私の見せどころ!!」なのでしょう。

 しかし私がグッときたのはその後の「ファンを裏切ったのはすごく悲しい」という部分。これね、魔法の言葉ですよ、アイドルにとっての。法律的に罪であろうがなかろうが、「ファンを裏切る」という行為は何よりも重い。「天国でお母さんが泣いてるよ」より「大人として恥ずかしい」より「甘えるな」より、よっぽど効果的に彼、彼女らを最終コーナーに追い詰める「ファンを裏切る」という言葉。さらにアイドル自らがこの言葉で他のアイドルを諫めるというのが、身震いするほどのポジション取り!!

スキャンダルさえも票にしてしまう指原莉乃さん ©時事通信社

 モー娘。に憧れて芸能界に入ったという坂口杏里さん。きらびやかなステージの中心にいることを夢見ながら、現実的に中心にいられる場所を転々としてきたような印象があります。そんな中、自分がいる場所を「中心」にしてきた指原さんが発するこのコメント。地獄の大王が弱々しき罪人を一喝するような恐怖と尊大さ。だいたい「ファンを裏切る行為」さえも飯のタネにしてのし上がってきた指原さんが「ファンを裏切ったのはすごく悲しい」ってもうめちゃくちゃじゃないですか。そんなめちゃくちゃなことが許されてキャラになるところまで自分を持ってこられたら、この世界は上がり。力の無いものはただその配下としてひれ伏すのみ、なのです。

思い出すのは坂口良子の壮絶な人生

 往年の美人女優が、前夫がこさえた多額の借金(40億だっけ)を自力で返済しながら二人の子どもを育て、恋人であるプロゴルファーとようやく結婚にこぎつけたところに病魔が襲いかかる。ドラマよりドラマチックな故・坂口良子の人生。そのドラマはハッピーエンドを迎えることなく、今度は溺愛した子どもが、身の程を知らないまま華やか(に見える)世界に飛び込み、とことん搾取されていくという第二章へと継続中。そこに今、「私がこの子を助ける」と鼻息荒めにフライディ・チャイナタウン泰葉が乗り込んできているわけで、私もイチ地獄の住人としてこの顛末を最後まで見届けなければ……と思っています。