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マナーを守らない人を晒す前に考えたいこと

鈴木涼美さんに聞いてみた。

2017/05/17

マナー違反の人を晒す前にしたいこと

 私は小学校5年生の時に、鎌倉市にある小学校からロンドンの小学校に転校しました。転校してしばらくたったころ、風邪を引いて鼻水を垂らしながら登校したことがあります。日本では、人前で鼻をかむことはあまりマナーが良くないとされていますから、私は教室でなるべくティッシュで鼻をかむことをせず、すすったりハンカチで押さえたりして休み時間にトイレで鼻をかもうと思っていました。しかし、先生には「どうしてそんな汚いことをするの? 思い切り鼻をかみなさい! クラス全員が不快です」と叱責されました。英国では鼻をすする行為は大変嫌われるからです。

 喫煙については各国法整備が整いつつありますから、善悪というのははっきりしています。ただ、それも最近の話で、4年ほど前にパリに2週間ほどいた時には路上喫煙は正義と言わんばかりにみんなパカパカ吸っていました。どんなに勉強熱心な人でも、全世界全地域のマナーや慣習、建物や組織ごとのルールを把握しておくのは難しいでしょうから、自分に厳しく他人に寛容に、をモットーとしてその都度自分が訪れたり迎え入れたりする国の文化を最大限情報収集・尊重するしかない気がします。

タバコを吸うサルトル ©getty

 マナーを守っていない人なんて、一歩外に出ればそこら中にいます。バスの座席をつめない人、咳をしているのにマスクもハンカチも持たない人、悪意があるのか、だらしないのか、無知なのか、何か事情があるのか。ぱっと見でわからない限り、ひたすらネットに晒したり罵声を浴びせたりするのは良くない。一番の問題は、東京では道で出会う見知らぬ他人に声をかける文化がないことである気がするので、できれば話しかけて言い分を聞いてから、喧嘩したり晒したりする世の中になればいいかなと、私は思っています。

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