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「負けグセ」を払拭するためにも、「目を覚ませ!」

 5月末で、すでにペナントレースも50試合弱を終えた。ヤクルトファンにとっては、わずか2ヵ月とは思えぬ実に濃厚な日々が続いている。

4月2日……鵜久森淳志、代打サヨナラ満塁ホームラン
  4日……阪神・藤浪晋太郎の死球による大乱闘
 13日……鵜久森、代打サヨナラヒット
5月9日……延長12回大松尚逸サヨナラホームラン
 14日……荒木貴裕、サヨナラ満塁ホームラン
 17日……由規、7年ぶりの東京ドーム勝利
 21日……ルーキ、敬遠大暴投

 あえて、ここでは挙げなかったけれど、5対0で勝利しているところからの大逆転負けもあれば、9回二死からのサヨナラ負けなど、劇的すぎる敗戦も実に多い。今年のヤクルトは、勝っても、負けてもドラマチック。それはそれで「面白い野球」なのかもしれないけれど、まずは「競り勝つ野球」を見せてほしい。

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 そして、『一勝二敗の勝者論』という著作を持つ関根潤三元ヤクルト監督は言った。ちなみに、この本の帯には「負けて、勝つ!」と書かれている。

「勝負事はね、やっぱり勝たなければいかんですよ! 負けて勝つなんてとんでもねぇ話だ。1勝2敗じゃダメなんだよ!」

 広澤さんの言っていた「負けパターン」は、幸いにしてまだ今のヤクルトにはない。宮本さんの言っていた「投手と野手との信頼関係」は、まだまだ破綻していない(と信じたい)。そして選手たちには、関根さんの言っていた「勝負事は、やっぱり勝たなければいかん」という言葉を強く胸に刻み、これからの戦いに挑んでほしい。

 これから心機一転、交流戦が始まる。本来の力を取り戻し、ペナントレースをかき回すためにも、大切なことはただ一つ。今こそ、選手も首脳陣も、そしてファンも、「目を覚ませ!」。これしかないのだ。ご同輩、6月こそ勝利の美酒に酔いしれようではないか!

※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/2704でHITボタンを押してください。