あの頃、巨人vs西武の日本シリーズに熱狂したすべての人たちへ
「(日本で覚えていることは)どこでも巨人ファンがいること。タクシーの運転手は巨人ファンばかりだし、レストランも巨人ファンばかり。巨人が勝てば日本全体が幸せという感じ。あれは面白かった」
87年まで阪急ブレーブスに在籍した助っ人アニマル・レスリーは『ベースボールマガジン 懐かしき外国人助っ人たち』特集号で日本文化で印象に残ったことを聞かれ、そう答えている。なにせ毎試合ペナントレースを地上波ゴールデンタイムで生中継していた83年の巨人戦平均視聴率は27.1%だ。対する西武も工藤公康や渡辺久信といった若い主力選手たちが「新人類」と称され86年流行語部門・金賞受賞。そんな時代背景もあり、GL決戦は社会全体を巻き込む新・旧盟主対決と異様に盛り上がったのだ。
日本プロ野球の黄金時代は、ON時代の戦後を背負った切実さもなく、野茂英雄渡米以降のメジャーリーグのリアリティもない、80年代から90年代前半だと個人的には思う。これはノスタルジーではなく、単なる事実だ。野球に関係のない仕事の打ち合わせの時、「プロ野球は子どもの頃好きでしたよ」という人が多いことに驚かされる。
20世紀の終わり頃、GL決戦に夢中になったけど、最近のプロ野球はよく知らない。もしかしたら、このコラムを読んでいる人でもそういう元ファンがいるかもしれない。そんな人にこそ、今年の交流戦の西武vs巨人はオススメだ。だって、西武の新監督はあの辻発彦っすよ。さらに石毛宏典以来36年ぶりの新人遊撃手開幕スタメンを勝ち取った源田壮亮というニュースターも出現した。巨人だって、原辰徳の甥っ子菅野智之がいまやエースだ。プロ野球は終わりのない連続ドラマである。何十年も前からストーリーはずっと続いている。
昔は楽しかった。たぶんそうだろう。俺もそう思う。けど、今のプロ野球だって面白いよ。
あの頃、巨人vs西武の日本シリーズに熱狂したすべての人たちへ。2017年のGL決戦を捧げたい。
See you baseball freak……
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