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“次の人”へのバトンタッチ

 そして撒いた種から芽が出、しっかりと根を生やし、太い茎となり、大きな葉をつけた時、次へのバトンを渡す時がやってくる。きっと二代目寝業師のこと、すでに多くの選択肢が浮かんでいることだろう。チーム生え抜きなのか、それとも外部からの招聘なのか。その答えも根本が答えを残している。ある意味、森の頭に轍を残しているといってもよい。

 森の中日に対する奉公、それはチームをより強くすること。そして何よりナゴヤドームに客を戻すこと。これが中日にとって一番の課題であり、オーナーサイドからの厳命なのかもしれない。いかなるファンもが納得して驚喜する、インパクトのある人材が求められているはず。ならばこの男をおいて他にはいない。

 イチローだ。

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 ジョン・レノン『イマジン』の一節と同じ、夢想家と呼ばれるかもしれない。それは高い高いハードルだろう。でも想像して欲しい。

 イチロー、大島、平田の外野陣。そして、一番京田、二番大島、三番イチローの平成スーパーカートリオ。誰もが挙ってナゴヤドームへ駆けつけるに違いない。ドラファンでなくても一目見たさに訪れることだろう。

 根本は福岡ダイエーの監督に迎えられた時から王の監督就任を決めていたという。ならば森が考えないわけがない。地元愛知にイチローを戻すのが一番パンチ力があり、そして中日球団を全国区に押し上げるには一番の選択だ。そして引退後は監督へというストーリー。その時がいつ来るかは分からない。来年? 再来年? 箸にも棒にもかからない話なのかもしれない。ただファンの私たちもネットの世界からイチロー中日入りの声を上げていくべきではないか。

 まさにドラゴンボールの元気玉の如し。イチローの耳に届けば儲けモノ。その夢が成るか成らざるかは野球の神様のみぞ知る話。たとえイチローへのバトンタッチが夢物語で終わるかもしれない。ただこれだけははっきり言えよう。森は中日を変える。必ずやチーム黄金期の礎を築いてくれる。彼を信じて声援を送り続けていこうではないか。

参考文献 『根本陸夫伝』(高橋安幸著/集英社)

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