昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2017/06/26

無茶なオファーから生まれた「ハフ満足!」の決め台詞

 ハフマンに関しては他にも様々な思い出がある。1年目に伊東勤監督から二軍降格を告げられた時に涙を流して、チームに貢献できなかった事を謝罪した事。故郷テキサスを愛し、いつも野球の靴下ではないテキサス州の形が刺繍された靴下を履いてプレーをしていたこと。ハッスルプレーの数々。思い返すとキリがない。その中でもマリーンズファンも含めて忘れられない事の一つが、お立ち台での決め台詞だろう。

「ハフ満足!」。自身の名前とかけたダジャレ。実はこれは矢嶋通訳が編み出したネタだった。初めてのお立ち台に上がる直前に広報(私)から「盛り上がるから、なにか最後に決め台詞を言って欲しい」という無茶なオファーを持ち掛けられた。こんな直前ではなくて、もっと早く相談をしろよ! というのが胸の中の気持ちだったであろうが、矢嶋通訳は嫌な顔一つせずに笑顔で相談にのってくれて、「いいのがあるよ。ハフ満足なんてどう?」とアイデアを披露したことがスタートだった。

 スワローズ戦であったことから私が考えていた「あんたがたハフマン」のネタよりもシンプルで良いとの決断で世に送り出された。本人もノリノリだったが、最初は披露をするタイミングを間違えた事と、発音がいまいちで聞き取りづらかったことから過去の助っ人史上稀にないほど大きくスベり、本人も客席も困惑した。それでも「ファンが喜んでくれるなら」とハフマン自身が、その後もめげずに続けてくれたことで徐々に浸透。いつしかマリーンズファンの誰もが知るフレーズとなった。

 2年間で73試合に出場し通算打率260。4本塁打、28打点。記録よりも記憶に強く残る名選手でナイスガイだった。今でもその笑顔と心意気を私たちは忘れない。ハフマンが日本での経験を活かし、メジャーの世界で活躍することを誰もが願っている。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/3086でHITボタンを押してください。