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クルーズ船の「事故物件化」はこれから始まる……大島てるが教える“事件の連鎖が生まれる条件”

事故物件サイト運営人が語る“動く不動産” #2

2020/05/06
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 結論から述べますと、そのときには、船籍国の法律が適用されます。つまり、ダイヤモンド・プリンセス号であれば、犯人は英国の法律で裁かれる、ということになります。

 基本的にはクルーズ船に警察はいませんが、警備員は乗っています。そして日本の場合、航海中は船長が警察の役割を果たすことになっています。たとえば、暴れる乗客が出てきて、身体の拘束が必要だと船長が判断したら、逮捕することができるのです。

クルーズ船と事故物件の“深刻な共通点”

 ただ、クルーズ船と犯罪という観点から言いますと、新型コロナの影響で一番気がかりなのは、今後の“客層の変化”です。これは、事故物件と同様の問題です。

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©iStock.com

 たとえばマンションの一室で殺人や自殺などが起き、そこが事故物件になったとします。すると、次にそこを貸し出そうにも、以前と同じ家賃では誰も借りてくれないので、オーナーは必然的に家賃を安く設定することになります。

 ただ、家賃というのは、そのマンションやアパートの“客層”を決める一面もあります。家賃5万円のアパートと、家賃30万円のタワーマンションでは、そこに住む人たちの平均的な生活環境に違いが出てきます。

家賃を下げると住民同士のトラブルにも繋がる

 もちろん、一概に「家賃が低いと治安も悪い」とは言えません。ただ、事故物件になった部屋を安く貸し出したことで、それまでとは違うタイプの住人が入居してしまい、騒音やゴミの出し方の違いなどで、古くからの住人とトラブルに発展する……といったことは、実はよくある話です。

 下の写真は、私のサイト「大島てる」で、関東のとある町を表示したものです。

 

 オレンジ色のマークは、そこが事故物件であることを示しています。これを見ると、事故物件は川を挟んだ上側に密集していて、下側にはほとんど存在していないことがわかります。なぜこんなにもくっきりと、川の向こう側とこちら側で差がでているのでしょうか。