昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/05/18

“夢のホームドア”とは一体どんなものなのか?

 全国各地で設置が進むホームドア。ただ、思うようにいかないところも少なくない。ネックになっているのは、列車によってトビラの数や位置が異なることがあるから。東京の、例えば山手線や地下鉄各線のように同じ車両をビシッと揃えることができるならそれに合わせればいいが、大阪駅のように違う車種がいくつも乗り入れる場合はそうもいかない。そこで昇降式ホーム柵を用いたり、開口部を特別大きくしたものを導入するなどして工夫しているのだ。

 が、そんな悩みも吹っ飛ぶような夢のホームドアがあるという。いったいどんなものなのか、実際に見せてもらった。案内してくれたのは、JR西日本鉄道本部技術企画部の田中恭介さんと実際に開発を担当するJR西日本テクシアの妹尾潤さんだ。で、夢のホームドア、どんなものなんですか?

JR西日本鉄道本部技術企画部の田中恭介さん(右)と開発を担当するJR西日本テクシアの妹尾潤さん。後ろが開発中のホームドアだ

「ひとことで言えば、フルスクリーンタイプで列車が到着するとそのトビラの位置にあわせていろんなパターンで動くホームドアになります。2023年春開業予定のうめきた地下駅への設置を目指して開発を進めています」(田中さん)

 うめきた地下駅とは、かつて貨物駅があった大阪駅北側の再開発エリアに設けられる予定の新駅のこと。現在の大阪駅と結ぶ連絡通路が整備され、駅名も「大阪駅」になるという。今では大阪駅を経由しない特急「はるか」「くろしお」なども停車する予定で、大阪駅経由での乗換ができるようになるとか。

これが開発中の「フルスクリーンタイプ」のホームドア。一見、東京メトロ南北線などにありそうな感じだが……

「なので、通勤通学等の通勤・近郊型車両から特急車両まで実にさまざまな車両が同じホームに乗り入れることになるんです。さらに2031年春にはなにわ筋線の開業も予定されており、そうなると南海電鉄さんの車両も入るようになります。そうなってくると、ロープを使ったホーム柵でも対応しきれない。開口部をどこにでも作れるようなホームドアを作る必要があります。そこで2017年頃から取り組んできたのがこの新型ホームドア、ということですね」(田中さん)

自由自在に動いて“どこでも開く”トビラ

 実際に試作品を見せてもらうと、ところどころにサイネージパネルがあって、その間にガラス面のドアがいくつか並んでいる按配。パッと見の印象だと、東京メトロ南北線にあるようなホームドアによく似ている。これが自由自在に動いてどこでもトビラが開くって、どういうことなのだろう。

「これまでのホームドアですと、どこかに固定部を設ける必要があるんです。駆動装置や制御装置を収納するスペースで、一般的なホームドアだけでなく昇降式ホーム柵でも必要です。で、そこはホーム上に固定されているのでどうやっても動かすことはできない。どこでも開ける、ということができなくなっていたんです。ですが、この新しいホームドアでは固定部がありません。サイネージの部分は従来でいえば固定部のようなものですが、これも左右に自由に動くつくりになっています」(妹尾さん)

写真では伝わりづらい面もあるが、先ほどのフルスクリーンのホームドアがサーッと動いた。サイネージ部分も同時に動き、ドア部分がサイネージの背後に収納される。一気に目の前が開く印象だ

 では駆動装置や制御装置などはどこにあるのか。そしてガラスのトビラはどこに収納されるのか。

z