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2020/05/18

 

「今までのホームドアのシステムでもそうなんですが、先頭側にセンサーを付けて列車の入線を判定しています。車両の両数によって開けてはいけない部分もあるので、そうした判定もセンサーで。優等列車の場合は列車側にIDタグをつけ、駅に受信機を設けることで、車種も判別して開閉することになろうかと思います」(妹尾さん)

安全確保のためのセンサーもホームドアの各所に付いている

 つまり、列車が駅に停車した段階でセンサーなどによって車両のタイプを認識してそれにあわせてドアが自在に動いて開く、というわけだ。また、安全確保のためのセンサーもホームドアの各所に取り付けられており、ホーム側・線路側の安全確認を行っている。駆け込み乗車のようにドアが締まりかけているところに乗ろうとしても、センサーが反応してホームドアへの挟まりといった事故は防げるという。

もしもドアの溝に傘がハマってしまったら?

もしも溝に傘が挟まってしまったら……ドアの開閉がストップするという

「実は、このホームドアは天井から吊るして動かしているので、サイネージやガラス面などのドア部分はホームには接地していないんです。ホーム側に取り付けられている溝はガイドのようなもので、負荷はかかっていません。そこにゴミや雨水等が入ることは想定されますが、小さければドアが押し勝ちますし、傘を溝に差し込むなど、対象が大きければセンサーに反応してドアが停まるように設定することができます」(妹尾さん)

 もちろん、初めてのホームドアだけに実際に駅で運用されるようになってからはどのようなことが起こるかは未知数だ。これまでのホームドアではお客が歩くホーム側に溝のようなものはなかったが、この新しいタイプではそれがある。つまりお客が躓いたり、ものが挟まってしまう可能性もゼロではないというわけだ。

「そうしたあたりも想定して、お客さまに危害を加えることのないように開業まであらゆるリスクを考えて丁寧に対応していかないといけないなと考えています。これからはそうした課題を潰していく作業になりますね」(田中さん)

2023年開業の“未来駅”でデビュー

 まだ実際に駅で動いているわけではないが、どんな車両にも対応できるホームドアはまさに夢の“どこでも(開く)ドア”といえそうだ。これならば車種の多さによってホームドア設置ができないほかの駅への拡大も期待できそうだが……。

「このホームドアそのものはうめきた地下駅を前提に開発しています。天井からぶら下げるという構造もそうですし、強化ガラスを使っている点やサイネージなどもそうですね。見かけよりは実は相当軽いんですが、それでも一定の強度が天井に必要なので、他の駅にそのままというのは少々難しい。それでも、他の駅への導入を諦めているわけではなくて、サイネージをなくすとかガラスを他の素材にするとかして軽量化を図るなど、可能性を模索していきたいと考えてます。そのためにもまずは2023年のうめきた地下駅に向けて、しっかり精度を上げていきたいですね」(田中さん)

 2023年開業予定のうめきた地下駅は、JR西日本にとって“未来駅”といった位置づけなのだとか。このホームドアも含め、さまざまな新しい技術を投入した未来感のある駅にしたい、というわけだ。首都圏では山手線の新駅である高輪ゲートウェイ駅がそうした存在になっているが、西ではうめきた地下駅が新技術を満載した駅になる。そのシンボルのひとつとして、デビューを控える夢のホームドア。大阪駅で見かけたリングロープのようなホームドアも、親しみやすく“大阪らしさ”を感じるものだったが、自由自在に動く“どこでも(開く)ドア”のデビューもまた、楽しみである。

写真=鼠入昌史
(※取材は3月に行いました)

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