テレワークは“単なるIT化”に留まらない!
さらに出口氏は、こうした動きは、大学だけでなく、広く日本の企業社会にも大きなインパクトを与えるとして、こう述べる。
〈今回、企業でも「テレワーク」や「オンライン会議」が広まり、多くの人のITリテラシーが高まり、「自宅でも仕事ができる」「集まらなくても会議ができる」と、働き方の認識を改める好い機会になったのではないでしょうか。コロナ後の世界では、「新しい生活様式」が広がり、働き方についてもITを駆使した「ニューノーマル(新常態)」が確立されるきっかけとなるはずです〉
〈日本の会社には、古い働き方や古い価値観にもとづく「オッサン文化」が根強く残っていますが、「テレワーク」は、単なるIT化に留まらず、職場の「オッサン文化」を駆逐し、日本の企業風土を一変させる大きな可能性を秘めています〉
テレワークで問われる“管理職の能力”
それはなぜか?
〈「テレワーク」は、(略)初めに管理職が業務を細かくバラし、最終的に「全体」をうまく組み立てられるように個々の「部品」を予め設計し、それを部下に適切に割りふる必要があります。(略)
つまり、「テレワーク」では、管理職がグローバル基準で働くことが求められます。言い換えれば、それだけ管理職の能力が問われるわけです〉
〈「テレワーク」は、さまざまな仕事を「見える化」するきっかけとなるのです。それぞれの「業務」が「見える化」され、個々人の「成果」や「能力」が「見える化」される。とくに上司は、「マネジメント能力」が「見える化」されます。能力があれば、若くても管理職に抜擢され、能力がなければ何歳になっても管理職になれない。長い目で見れば、「年功序列」は息の根を止められるでしょう〉
〈従来の「オッサン文化」「年功序列」で、最も不利益を被ってきたのは女性ですから、「テレワーク」は、女性活躍を後押しすることにもなります〉
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日本社会に対する「テレワーク」のインパクトの大きさを説く出口氏の「リモートが『オッサン文化』を破壊する」の全文は、「文藝春秋」7月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。
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リモートが「オッサン文化」を破壊する