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日本企業から「オッサン文化」が駆逐される!? 出口治明が語る“コロナ後の世界”

テレワークは、さまざまな仕事を「見える化」する

〈世界の歴史を紐解けば、疫病が歴史の転換点となった先例がいくつも見られます〉

〈たとえば、14世紀の黒死病(ペスト)は、欧州では人口の3分の1が死んだといわれるパンデミックでしたが、その後にイタリアでルネサンスが起こりました。ボッカッチョの『デカメロン』を読めば、フィレンツェでペスト疎開した人々が語り合う物語を通して、人々の価値観や人生観が大きく変化したことがわかります〉

〈今回の新型コロナの流行は、社会に不可逆的な変化をもたらし、中長期的に見れば、コロナの「前」と「後」では、まったく異なる世界になると確信しています〉

 こう語るのは、立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を務める出口治明氏だ。

出口治明氏(立命館アジア太平洋大学学長)

〈僕も過去にはない経験をいくつも積むことができました。僕が学長を務める立命館アジア太平洋大学(APU)は、2月20日に、卒業式と入学式の中止を決めました。これは、政府が小学校、中学校、高校の臨時休校を要請した日より1週間ほど早く、全国の大学に先駆けての決定でした〉

 APUは、学生のほぼ半数が海外からの留学生だ。そのため、出口氏は早期の決断を迫られたという。

〈もちろん、「他大学の対応も見ましょう」という意見もありました。しかし飛行機やホテルの手配を考えると、早く決断しなければ学生も家族も困ります。ですから、他大学に先駆けて2月20日に公表しました〉

「オンライン講義」の手応えは……?

 出口氏が学長として決断を求められたのは、卒業式と入学式の中止だけではない。

〈それから間もなく、新学期について対策を立てました。9月までの前期は、すべてZoomを用いた「オンライン講義」にする、教授会なども原則「オンライン会議」にする、子連れ出勤やテレワークを進める、等々です。一気にオンライン化を進めるため、学生や教職員に必要なIT環境を急いで整えました〉

©iStock.com

 出口氏自身、それまで「オンライン講義」や「オンライン会議」は、まったくの未経験。しかし、問題はなかったという。

〈僕自身も2度、100人から200人の学生に向けてオンライン講義を行いました。

 実際に体験すると、チャット機能で学生たちが質問やコメントを自由に書き込めるなど、リアルな講義にはないコミュニケーションがとれました。理科系学部の実験を伴う授業などは難しいでしょうが、文科系学部の講義や講演には十分使えるという手応えを感じました〉