政府の観光支援策「Go Toトラベル」事業が波紋を広げている。当初は8月以降に開始する予定だったが、7月10日になって突如7月22日に前倒しして開始すると発表。二転三転して、7月16日午後、赤羽一嘉国土交通相が「東京発着の旅行を対象外にする」と発表した。
「国のほうで、よーく、ご判断されたことかと。一方で国として都民、国民に対しての説明ということが求められるのではないでしょうか」
Go Toトラベル東京除外を受けて同日、小池百合子東京都知事は皮肉るようにこう発言した。
岩手県の旅館を対象にアンケートを実施
全国的な感染拡大が懸念されている新型コロナウイルスだが、7月17日現在、いまだ感染者が確認されていないのが、岩手県だ。“感染ゼロ県”の宿泊施設関係者は、このGo Toトラベル事業をどうみているのだろうか。
「文春オンライン」特集班は、岩手県の宿泊施設を対象に電話でGo Toトラベルの是非についてのアンケートを実施。電話をかけた52施設中、29施設が取材に応じてくれた。そのうちGo Toトラベルに「賛成」したのが34.5%、「反対」が55.2%、「どちらとも言えない」が10.3%という結果になった。
「自分の旅館から感染者第1号を出したくない」
岩手県の内陸で100年以上営業を続ける老舗旅館の関係者が語る。
「今うちは前年比10%の売上しかない危機的状況だし、(他県からの客が)来てくれたら受け入れるしかないけど、正直お客が来てくれるよりも『コロナに罹りたくない』『絶対に自分の旅館から感染者第1号を出したくない』という気持ちの方が強いですよ」
ほかにも多くの施設で「なにより第1号を出したくない」という声が。
「絶対に自分のホテルから第1号を出したくない。今Go Toトラベルをやったところで、県外からの来客があるとは思えないし、効果ないんじゃないですか。正直、東京のお客さんが来るとドキッとする」(宿泊施設支配人)