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2020/12/20

4カ月の話し合いの末たどり着いた結論とは

 それから何度も話し合いを続けたが、男性側が理解してくれるまでには長い時間が必要だった。

「だいたい4カ月くらいは話し合いを続けました。彼は私の考えを変えてほしいというよりは、『変わったことはやめようよ』という感じでした。事実婚なんてしてる人は周りに一人もいないし、わざわざ世間とズレてることをする必要はない。常識的にやりたい、ということでした。

 こちらを説得するためにいろいろ制度についても調べたみたいで、ネットで姓を変えた男性の体験ブログとかをめっちゃ読んでましたよ。たとえば『事実婚だと夫婦ではないから、どちらかが危篤になった時とか病室に入れなかったりする。それは困るから、やっぱり籍は入れておいたほうがいい』とか、デメリットを挙げてきた。

 でも、これも住民票に『妻(未婚)』と記載することで回避できますし、自治体によっては『パートナーシップ制度』みたいなものもありますよね」

©️iStock.com

最終的には双方が歩み寄りを

 事実婚にしたい佐藤さん。結婚を望むパートナー。話は平行線だったが、最終的には双方が歩み寄ることができたという。

「かなり長い時間をかけて話し合ったので、私が入籍したくないからとか、嫌がらせや気分ではなく、本気で言ってるんだと分かってもらえました。それで最終的に、私から『じゃあ、あなたが名前を変えるんだったら籍を入れてもいいよ』と提案して、彼も『じゃあやってみるか』と受け入れてくれたんです。

 もともと二人とも日本人にはありがちな苗字だったし、『名前』や『家』にこだわりがあったわけじゃない。そこは後押しになってくれたかもしれません」

 ただしその場合、今度は相手に負担を押し付けることになる。そこで佐藤さんは別の条件で歩み寄ることにした。こちらも結婚の際に女性側の要望が軽視されがちな「一緒に住む場所」の問題だ。

 二人は結婚を機に家を購入する相談もしていたのだが、その場所を相手の希望する街にすることで相手の通勤の負担などを減らし、結婚によってどちらか一方の負担ばかりが増えないようバランスを取ったのだ。

©️iStock.com

お互いの実家という「社会の壁」

 ようやくパートナーの理解を得ることができた佐藤さん、しかし話はこれで終わらなかった。二人で出した結論をお互いの実家に報告したところ、双方から猛反対を食らってしまう。

「軽く考えてるわけじゃない。二人でこれだけ話し合いをして決めたことだって伝えれば大丈夫かと思っていたんですが、甘かったですね。まず私の両親ですが、母親が猛反対でした。田舎の人ということもあって、『結婚ってそういうものだから』と世間体を気にしている感じでした。

 私が譲歩した住む場所の問題にしても、『女の人は嫁に行ったら、男性についていくもの。県外にだって海外にだってついていく人はいくらでもいるし、引っ越しなんて条件でもなんでもない。みんなそうしてるよ』『あなたのワガママでやれることじゃない』と何度も言われました。当事者の二人の間でも4カ月かかったのに、また一からの説得作業です」

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