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何度となく優勝を経験している男の言葉は熱く重かった。初めて優勝争いの重圧を身を持って感じた若い選手たちに突き刺さるメッセージだった。すべてはチームの事を考えての言葉だ。
「チームのため、組織のため言うべきことはしっかりと自分の言葉で言おうと思いました。誰かが言うだろうという考え方は捨てようと。今はその意味が分からなくてもいい。分かってくれる日は必ず来ると信じている。4年後、5年後。若い子が引退をした時に分かってくれてもいい」
「狂ったように野球をやっているか?」
大事にしていることがある。先輩から教えてもらったことだ。
「狂ったように野球に打ち込め。今は投げられる。野球が出来る。でもあと何年出来るか分からない。狂ったように野球をやっているか? もっと狂ったように熱中しろ」
ハッとさせられたことだった。野球が大好きだ。野球しかないと思っている。しかし日々、本当にその野球と全身全霊、向き合っているのか。一人で過ごしている時に自分に投げかけ問いただすと、まだまだ余白はある事に気が付かされる。だからこそ今という一瞬を大切にし、いつ燃え尽きてもいいようにボールを投じ、チームの事を考え続け、行動を起こしている。
「狂ったように野球の事を考える。全身全霊、チームの事を考える人間でありたいと思っている」
澤村の表情から充実感がにじむ。日々と精一杯向き合っているからこその表情なのだろう。愛する野球に全集中し、チームの事を考え行動し続けた2020年シーズンは特別な1年となった。