さながら過激派のアジトへの手入れだった。警視庁が斧を振りかざしながらドアを破壊し、捜索に入ったのは新宿・歌舞伎町のキャバクラ「花音」。この店、経営者は元キャバ嬢のカリスマユーチューバーでもあった。捜索容疑は営業時間を守らなかった疑いだが、警察はなぜ強制捜査にまで踏み込んだのか。
ドアを施錠して立ち入りを拒否
一夜明けた入り口の姿が捜索のすさまじさを物語る。ドアにはガムテープがはりめぐらされ、その上に「緑茶」などと書かれた段ボールがドアの上半分を覆うように無造作にはられている。
捜索があったのは2月1日の未明のこと。花音は新型コロナウイルス禍での営業時間の短縮に応じなかったばかりか、風営法で午前1時までと定められている風俗店の営業時間すら守らずオーバーしていたという。
捜索に入った警視庁保安課も当初からドアを破壊するつもりでいたわけではない。当日、営業時間の行政指導の立ち入りに訪れたことを警察官が告げると、ドアを施錠して立ち入りを拒んだのだ。
店内にいたのは従業員7人、ホステスが15人、男性客が13人。新型コロナに伴う時短営業であぶれた客が、灯火を求めて集まる夜虫のように集っていた。ドアに「感染防止徹底宣言ステッカー」がはってあったのは悪い冗談としかいいようがない。
ブルーシートまで覆って連行されてるのは有名な花音オーナー社長かな pic.twitter.com/boG6b9nrUP
— 風神エンリル (@kaze_nif) January 31, 2021
機動隊員が斧でドアをぶち破ると、保安課はなかにいた従業員のうち店長の渡部圭介容疑者(36)以下6人を風営法違反(立ち入り拒否)容疑で逮捕した。だが、営業時間を超えることはむしろ風俗界では日常茶飯事。なぜ保安課は捜索に踏み切ったのか。