そのニュースが報じられた瞬間、思わず今ここが2021年であることを疑った森喜朗元総理の女性蔑視発言。
「女ってのはよ~話が長くて困るよな~」と一般人が居酒屋でクダまいてるならいざ知らず、まさかキングオブ国際イベントたるオリンピックの、まさかその開催を担うホスト国の、まさかその組織委員会のトップが、いかなる差別をも禁止するオリンピック憲章に真正面からぶつかりにいったもんですから、正直最初は何が起こってるのかよくわからなかったんですよね。
ですので、多くの方はネットニュースの一報を見てまさか「そんなやつおれへんで」と心の大木こだまがささやいたのではないでしょうか。そして全文を読んで「おったんかい!」と心のおいでやす小田が叫ぶという、二段階制でより深い絶望を味わったのでは。結果として森喜朗は辞任に追い込まれました。
「偉そうなジジイ俺がおろしてやったぜみたいな」
これもまたセンセーショナルなネットニュースのタイトルになったEXIT兼近大樹の発言。AbemaTVで自身がMCをつとめるニュース番組『報道リアリティーショー#アベプラ』(2021年2月11日放送)で、前述の森辞任に関してこんな意見を述べたのでした。
「何よりも俺今回で気持ち悪ぃなと思ったのは、古の頃から続く石をぶつける行為というか自分が被害が及ばないところから石をひたすらぶつけて、おろしてやったぞと」
「偉そうなジジイ俺がおろしてやったぜみたいな」
「発言自体はすごい許されるようなことじゃないかもしれないですけど、その時全文聞いたのかっていう、全員が俺全て聞いたわけじゃないと思うんですよ。ただ誰かが言ってるから『え、こんなひどいこと言ってんだ?』っていう切り取りの文字を読んで攻撃してる人も俺たっくさんいるなって感じたんで」
この発言は「チャラいだけじゃないんですね」「ほんこんとブラマヨ吉田だけかと思ってたけど、この人もわかってる」など絶賛とともに拡散された一方、「論点をズラしてるだけ」「全文読んだけど、全文読んだほうがひどい」と非難の対象にもなりました。予想外の展開だったのか、翌日本人のツイッターアカウントで火消しに走るくらいの炎上状態に。
今回の森発言って、あまりにも分かりやすい「正誤問題」じゃないですか。心の中はいかにあるにせよ、この問題に対する社会的な対応は一つに決まってる。ではなぜ、今までもっともっと難しい芸能界という風を完璧に読みきってきた兼近さんは、ここで「悪手」を選択してしまったのか。差別的な発言をした森喜朗を結果的に「擁護する」側に回ってしまったのでしょうか。
ピンク色の髪で「コンプラゴリ守り芸人」のギャップ
チャラ男キャラでブレイクした兼近さんは、その後宮迫&田村亮に端を発した吉本闇営業問題でも「会社から芸人にしっかり説明求む!会社を守る為の一方的なヒアリングはもう良いだろう?」と骨太ツイートするなど、「コンプライアンスゴリ守り芸人」として確固たる地位を築いてきました。
みんな好きじゃないですか、ギャップ。ピンク色の髪でぽんぽーんしてるのに、言うべきことはちゃんと言う男。弱きを助け、強きをくじく。人々は、兼近さんに対しまるで少年漫画の主人公のような、無敵スーパーヒーロー感をおぼえていたと思います。