幕末動乱期の京都の治安維持を任務として結成された新選組。「鬼の副長」土方歳三によって鍛え上げられた剣客集団の威名は洛中に轟き、“壬生浪”と恐れられていた。

 鉄の掟で律された集団で、一人の美貌の青年剣士をめぐる隊員同士の争いが勃発。ついには殺人事件にまで発展するという、隊の存続を揺るがす大事件となった。

 司馬遼太郎原作『新選組血風録』のコミカライズ版第2巻から、「前髪の惣三郎」をご紹介する。

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匂い立つような色気が漂う若者が入隊

 新選組の隊士募集に集まった剣客たちのなかで、ひときわ腕の立つ若武者がいた。考試に合格したのは加納惣三郎。匂い立つような色気が漂う若者だった。

 
 

 加納は18歳にして師範代をつとめていた。加納に見とれた近藤は「私の小姓にほしいがどうだろう?」

 

「前髪の惣三郎」の噂は市中にまで広まった。隊内でも惣三郎に言い寄る者が現われて……。

 
 

 そんな折り、惣三郎と同期の田代彪蔵が「出来ている」との噂が……。噂を確かめようと土方は、二人を道場に呼んだ。