思考停止の「前例踏襲」
――教育委員会からPTAに委託される「家庭教育学級」と、文化委員が企画する研修会は内容がほぼかぶっているうえ、どちらも参加者が集まらず、毎回保護者が無理やり動員されている。どちらかをやめるよう提案したがスルーされた。(ゆうこりん)
――ベルマーク。複数の保護者から「時間がかかるわりに得られる額が少ない」と意見が出た。役員にやめようと提案したが「PTAの仕事が少ないのは困るからなくせない」と却下された。(かえるさん)
――不審者対策で、PTAが運動会の受付をしている。保護者や来賓の名簿に来場者が〇をつけるだけなので、なりすましでもわからない。効果があるのか疑問。(P太郎さん)
――委員2年目、部長さんに活動のスリム化を提案。「総会で事業計画や予算が決まっているので無理。賛同しないなら委員になるべきでなかった」と言われた。(コバコバさん)
よく言われるように、PTAは「前例踏襲」に陥りがち、という問題もあります。PTAは会員がどんどん入れ替わり、役員や委員も大体1~数年で交代します。そのため経験や知識が蓄積されづらく、やり方の改善や、新しい取り組みにたどりつかないまま、「とりあえず去年通り」の活動を繰り返すことになりがちです。
またPTAは、その年度の活動や予算について、4月の総会で決めてしまうことが多いため、年度が始まってからは活動を変えづらいという側面もあります。
「前年通り」を続けていると、だんだんと「何のためにその活動を行っているのか」という、元の目的を考えることも忘れてしまいます。そしていつの間にか「まだやっていない人にやらせること」や「全員に必ずやらせること」が目的化してしまうのです。
目的が広く、あいまいなところも、PTAの難しいところです。一般的に、PTAの目的は「子どものため」あるいは「保護者の学びのため」と理解されていますが、これではちょっと幅が広すぎて、大体どんな活動でも該当してしまいます。
運動会など学校のお手伝いも、ベルマークや資源回収などによる「寄付」も、交通見守りも地域協力も、みんな「子どものため」といえますし、広報紙づくりや、講習会の企画開催なども、みんな「保護者の学びのため」といえてしまいます。目的を再考し、ある程度絞り込むことも必要ではないでしょうか。