その圧倒的な理不尽さに、私の頭は爆発しそうでした――。

 ノンフィクションライターの大塚玲子氏は、初めての保護者会でPTAの「クラス役員決め」を経験した際にそのような感想を持ったという。運営が理不尽であったり杜撰であったりした場合、保護者の立場として何か対処できる方法はあるのだろうか。

 ここでは、大塚氏の著書『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)の一部を抜粋。PTA一般会員として悪しき慣習の改善に挑戦した母親タロウさん(仮名)のインタビューを紹介する。(全2回の2回目/前編を読む

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オープンな場で質問することの意味

「総会資料を読み込んで、文科省の資料や地方自治法を調べ、総会で手を挙げて、不透明な会計について質問し、最低限これだけでもやめませんか? という改善案を出した。次の総会で、また1人でもチャレンジしたい。負の遺産を、これ以上残せません」

 取材のために行ったアンケートで、特に「やりますな!」と印象に残ったもののひとつが、この回答です。一般会員としてPTA総会で質問や発言をするのは、筆者も何度も経験していますが、かなり度胸がいるものなのです。

 書いてくれたのは、小学生2人の子をもつ母親、タロウさんです。彼女が総会に出席したのは、2年前の春。3年前も総会に出席したのですが、このときは「なぜ拍手で議案が成立? 誰かが拍手の音量をはかっているのか?」等々、あまりに謎が多すぎて、何も発言できなかったのだそう。1年かけて多少整理がついたので、一昨年はついに「誰も手を挙げないところに、1人で手を挙げて、質問しまくった」のでした。

 たとえば、こんな内容です。

「会議や行事の参加者に出すペットボトルのお茶は不要では? 保護者の誰かが何十本も事前に運び入れていると思うと、申し訳ない。自分でもってきてもらえば済むのでは?」

 担当者はこれに「検討します」と回答してくれたものの、その後収支報告を確認したところ、一部でお茶出しは続いていた様子。ただし、過去にお茶出しを担当した母親からは、「あのとき、言ってくれてありがとう」とお礼を言われたそう。

「『一人一役』は、子どもをたくさん育てて頑張っている人への罰ゲームのよう。お願いする立場の方もお辛いと思うので、自由参加にしてはどうか?」

 これに対しては、「必ずやらなければいけないというわけではない」という、ちょっとあいまいな回答でしたが、その後、2つの委員の廃止が決まったそう。ただし、一人一役はまだ解消されそうにない、ということです。