一般会員として「総会で突撃」して問題提起
「昨年の総会も、聞きたいことを用意していたので、知り合いにも『ちょっとしたショーになるので、総会に参加してね!』と声をかけていたんですけれど、コロナで総会が開催されませんでした。今年(2021年)も同様です。
個人で問い合わせて、見えないところで回答をもらう形では、会員みんなの利益にならないので、今後も『総会で突撃』のストロングスタイルで行きたいと思っています。ただし、基本はマイルドに。『ここにいる方は、皆さん〇〇でしょうから』『みなさん律儀なので』など、気を付けてコミュニケーションをとっています」
ストロングスタイル、見事です。筆者は正直、総会で期待されない発言をするときのアウェー感に弱いので、タロウさんのように軽やかにできる人を、心底尊敬してしまいます。
「たった1人でもこれを繰り返していくことで、同じように質問をする人が増えたり、質問を事前通告する形に変わったりするかもしれません。人前で話すことが苦手な人には、事前通告方式のほうがいいかもしれないですね」
その後タロウさんは、下の子の入学説明会でも、こんなやりとりをしたそうです。
「配布されたプリントに、はっきりと『入学したらPTAに入っていただくことになっている』と書かれていたため、手を挙げて『PTAは任意加入で、自動入会は成立するはずがないので、入会届と退会届を作成してください』と言いました。会長は『強制するわけではないので、入会できない方は私に連絡してください』と、いつも通りのお答えでしたが、説明会終了後の雑談では、他の保護者から『任意なのは知らなかった』『上の子のときには気付かなかった』などの声が上がっていました」
あえて退会もせず、一般会員として働きかける
しかしまあ、なぜタロウさんはこのような働きかけを続けるのか。ここまでやるなら、本部役員になって改革しようとは思わないのか? 尋ねてみると、こんな答えが。
「保育園のときは7、8年、いわゆる本部役員をやっていました。無理・無駄な活動はなく、一人一役なんていうルールもなく、『協力してくれる方は誰でもウェルカム』な会です。活動のメインは園と保護者の意見交換で、要望を聞き入れてもらい実際に変わっていくところも多く、非常に機能的でした。その後に小学校のPTAを経験したので、ギャップが大きくて、昭和にタイムスリップしたかと思ったくらいです。
いまのPTAは、本部役員をやるにはクラス委員か副委員を経験していなければならないルールなんですが、『低学年で委員をやったほうがいい』という都市伝説のおかげで、私にまわってきたことがないんです」
なるほど、委員を一度もやれていないので、本部役員にはなりたくてもなれない、ということでした。立候補しても役員になれなかった筆者と、似たようなものです。
「いちおう『他にやる人がいなかったら本部役員やります』とアンケートに書いているんですが、『落選のお知らせ』みたいなプリントが返ってくるので、付き合ってもいない人にフラれたような気分になります(笑)。とりあえず一般会員としてどこまでやれるか確かめたいし、このまま6年まで役員も委員もやらなかったとき何が起きるのか体験してみたいので、PTAがお困りでない限りは、あと3年何も役はやらない予定です(笑)」