2003年に放送が開始されたテレビ朝日系のバラエティ番組『アメトーーク!』。数々の人気芸人を輩出し、先駆的な笑いを発信してきたこの番組は、放送開始から20年近くが経つもののいまだに高い人気を維持し続けている。
そんな『アメトーーク!』が2021年に開設したのが、公式ファンクラブ&動画配信サービスの「アメトーークCLUB」(以下、CLUB)だ。他のバラエティ番組がTVerなど総合的な動画プラットフォームで無料見逃し配信をおこなうなか、『アメトーーク!』は番組独自の有料配信サービスという独自路線を歩んでいる。
この記事では、そんなCLUBのコンテンツから見える『アメトーーク!』それ自体の魅力について考えてみたい。先に結論を述べておこう。大げさにいうのなら、『アメトーーク!』は叙事詩である。そしてCLUBはその叙事詩を解読するための手引きである。
「ひどかった」千鳥のアメトーーク初出演
現在、CLUBで配信されている動画は、大きくわけて4つある。第1に、オリジナルコンテンツである「スペシャル企画」。第2に、『アメトーーク!』の演出・エグゼクティブプロデューサーである加地倫三氏(以下、加地EP)がホスト役を務める「Pラジオ」。第3に、地上波の収録直後に出演者が収録をふりかえる「収録舞台裏」。第4に、過去の放送回が配信されている「クラシック」である。配信動画の総本数は、この記事を執筆している2022年4月初頭の時点で200本近くにのぼる。
CLUB内の動画については、もちろんどこから見始めてもいい。が、私のおすすめは「Pラジオ」からの視聴だ。
たとえば、千鳥をゲストに迎えた第1回のPラジオ(「Pラジオ#1 ゲスト千鳥」)。そこで彼らは、加地EPを前に『アメトーーク!』の初出演時をふりかえる。
同番組に千鳥が初登場したのは2006年。「baseよしもと芸人」の回である。笑い飯、麒麟、とろサーモンといった、現在も活躍する芸人たちと一緒の出演だった(なお、「baseよしもと」とは、当時の大阪吉本の若手芸人が活動拠点としていた劇場のこと)。
この初出演を、大悟もノブも「ひどかった」と回顧する。いつも劇場でやっていたノリを、そのままテレビに持ってきた感じ。顔を引きつらせながら、無理してがんばる感じ。そんな『アメトーーク!』初出演を、2人は苦い記憶としてふりかえるのだ。