家族そろってのお出かけが“不可能”
子育てに対して夫婦での協力体制を見つめ直したが、それでも不安は尽きないという。
「普段から家事・子育ては分担していますが、年のせいか慢性的に疲れが溜まり、回復しない。休日の午前は私、午後は妻といった形で片方は育児をし、もう片方は完全休養するという形を取っていますが、これが正しいのかどうか……。
他のご家庭では休日は家族揃ってお出かけするのが普通のようですが、ウチはそれが体力的にできない。完全に私たち夫婦の都合でしかないのですが、ほとんどお出かけをした経験がないというのは、子どもに悪影響を与えてしまっているのではと感じますね」(大下さん)
予想以上に体力面での衰えを感じ、思い描いた育児ができないことがストレスになってしまう。
「長男の出産前は第2子も視野に入れてましたが、いまは少し躊躇していますね。夫婦共にさらに年を取った状態で、やることも増えるわけですから……」(大下さん)
結婚して10年で一念発起の妊活
飲食店に勤務する末永恵吾さん(仮名)は、現在56歳。8歳になる息子さんがいる。
「結婚したのは私が36歳で、妻27歳の時でした。子どもに関して『いずれは……』という話はしていましたが、お互い仕事も忙しく、もうちょっと落ち着いたらと言っている間にだらだらと時間が経ってしまいました。結婚して10年を機に一念発起して妊活に励み、48歳で念願の長男に恵まれました」
ある程度の年齢になってから子どもを授かった人がまず考えることは、みな共通しているのではないかと末永さんは言う。
「『この子が成人するころ、俺は68歳か』その計算はすぐに頭に浮かびました。仕事や経済的な不安もありましたが、日頃から不摂生な生活を送っていたので、まずは健康というか、シンプルに68歳まで生きてられるかな、と思いましたね。それで子作りを躊躇するということはなかったですけど、最悪の場合の保険とかは検討するようになりました」(末永さん)
40代後半の男性にとって、自分の10年後、20年後に自信を持てないというのは誰もが考えるところだ。