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子どもの手を掴もうとしたら、足がもつれて

「体力面は最初から諦めていた部分はありますね。『運動会の親参加の種目には出れないだろうな』とか。なので、まだ自分の体が動くうちに子どもをキャンプや登山などに連れて行ってやりたいとは考えたんですが、この数年はコロナで外遊びをする機会も減ってしまって……。子どもと取っ組みあうような父親像を夢想してましたが、無理そうですね」(末永さん)

 体力の衰えは、小学校の運動会など待たずにすぐに痛感することになったという。

「乳児の頃の抱っこやおんぶの時点で、一にも二にも自分の体力のなさを痛感しました。こちらは年々衰えていくのに、子どもの体はどんどん重くなる。抱き上げるときにギックリ腰になったことは何度もありますし、公園の散歩や追いかけっこも、こっちの息がすぐあがってしまうので短時間しかできない。

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 つまずいた子どもの手を咄嗟に掴もうとして、自分の足がもつれて転んでしまった時は、『こんなはずじゃなかった』としみじみ感じました」(末永さん)

同世代のパパ友はフットワークが重く…

 初老パパの悩みは、体力面だけではない。まわりに同世代のパパ友がいないため、相談などができないこともストレスになるという。

「周囲の友人の子どもは、すでにほとんどが中高生以上。なので、アドバイスはくれても、この年齢で子育てをする悩みは共有できません。それなら同世代のパパ友を作ったらと言われるんですが、これが意外と難しい。

 幼稚園や小学校の行事に参加したときに、同い年くらいと思われるパパさんを見かけることもあるんですけど、当たり障りのない世間話をする程度の付き合いで、改めて会うようなこともない。冷静に考えると、仕事でもプライベートでも、40歳を超えてから新たな知り合いや友達が増えていない。人間関係の面倒さもよくわかってるし、変なプライドもある。

 とにかくフットワークが重くなってるのは確かで、年齢高めの男性にパパ友ができにくいというのはあると思います」(末永さん)

 今後、日本社会でさらに初老パパが増えていくことを考えると、公的なサークル活動など、地域的にフォローするような体制があったほうがいいのかもしれない。

「まぁ、子どもができた時点で、初老パパになることは覚悟していたので、仕方ないと受け入れるしかないですよ。将来の心配は主に二つ。お金と自分の健康です。

 子どもを持った父親の悩みなんてみんな同じなんじゃないですかね……若いパパよりは切実ではありますけど。人並みですが、子どもと一緒に酒を飲める年齢くらいまでは生きていたいです」(末永さん)