「昨秋、紫色のアザをつくって腫れあがった顔の坂本さんに会いました。『どうしたんだ?』と聞くと、『出口に殴られた。あいつはねじが1本飛んどるやつやから、酔ったら手が付けられん』と。『被害届を出して出口から離れた方がいい』と言いましたが、気が弱いからか言葉を濁すばかりで……。結局亡くなるまで出口のもとを離れませんでした」(坂本さんの親戚男性)
山口県警は5月1日、坂本博さん(61)を殴って死亡させたとして、自称配管工の出口太一容疑者(46)ら2人を傷害致死容疑で逮捕した。
加害者から「一緒に仕事をやろう」と誘われたのがきっかけ
事件現場となった出口容疑者宅と同じ敷地内の一軒家に、2年程前に引っ越してきたという坂本さん。暴力を受けても離れられない強い“依存関係”が生まれた2人の接点は何だったのか。
坂本さんの親戚男性が話す。
「坂本さんは光市で生まれ育ち、大学卒業後はずっと地元でエアコン清掃の仕事をしていました。独身で両親も亡くなり、親しい親族は姉だけです。昔から気弱な性格で声も小さく、話をしても『ん?』とこちらが聞き返さないと、何を言っているのかわからないほどでした。働いていたエアコン清掃の会社は、給料も良くないし、家からの通勤距離も遠い。そんななかで出口容疑者と1年半前に知り合い、『一緒に仕事をやろう』と配管工の仕事に誘われたようです。出口は現場の親方で、坂本さんは彼の部下という位置づけでした」
当初は待遇が上がると喜んでいた坂本さんだが、待っていたのはプライベートでも出口容疑者への服従を強いられる“飼い殺し”の生活だった。