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負けても絶賛の声...「坊主でこんなにカッコいい人初めて見た」

「咲人くんが『Breaking Down』に出ることは、YouTubeを見て知りました。動画では対戦相手からホストに対する偏見の罵声を浴びせられていて、僕もまるで自分が馬鹿にされているみたいで苛立ったのを覚えています。僕が在籍するホストクラブでもこの話で持ちきりで、試合当日は店のスタッフ総出でホスト代表の咲人くんを応援していました」

新宿歌舞伎町のホストクラブ「TOP DANDY」の看板

「ホストへの偏見やイメージを変えるために、ホストという職業を軽蔑する奴をぶっ飛ばしたい」と意気込んで試合に臨んだ咲人は、第15試合目に登場。前回大会出場者だった山川そうき選手と対戦した。しかし結果は判定負け。試合後のインタビューで「負けてしまいました、申し訳ないです。ただ応援してくれた方々がいたから挑戦する事ができたし、感謝でいっぱいです。本当に有難うございました」と語った。

 ところが咲人には、負けて謝罪だけでは済まない「約束」があった。試合前に咲人と対戦相手との間で交わされていたのは、“負けたら坊主とタトゥーを入れる”という男同士の誓い。後日その約束を果たすべく、自身のYouTubeチャンネル「咲人ちゃんねる」にて実際に髪の毛を坊主にし、2週間消えないヘナタトゥーで“負け犬”の文字を首に入れる様子をアップした。ホストにとって坊主姿になるのはなによりも屈辱的――かと思われたのだが、この坊主姿が途轍もなくイケメンだとネット上で大きな話題になる。SNSでは「坊主でこんなにカッコいい人初めて見た」「モデルにしか見えない」「今回の一連(の出来事)でホストへのイメージが少し変わりました」などと絶賛の声が相次いでいる。

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坊主姿にはSNSで絶賛の声が上がった(咲人Instagramより)

都内でも知る人ぞ知る有名鮨店に2人で

 そんな物語が始まる1カ月程前、6月23日の午後7時半ごろに時間を戻そう。渋谷区の住宅街で張り込みをしている取材班の目の前の細道に、1台のタクシーが停まった。呼び出した車に乗り込んだのは、小さな顔をマスクで隠し、すらっと伸びた手足が日本人離れした明日花キララと韓国のトップアイドルグループ「BTS」をイメージさせるような美形男子の咲人の2人だった。

高級鮨店の前で談笑する咲人と明日花キララ Ⓒ文藝春秋 撮影・上田康太郎

 実はこの日、取材班は広瀬すずと山崎賢人の熱愛を追って取材を重ねていた。その現場に突然、予期せぬ“ビッグカップル”が姿を現したのである。取材班は当初の目的もそっちのけで2人を追った。

 十数分ほど後、タクシーは隠れ家のような佇まいの鮨店の前に停まった。都内でも知る人ぞ知る有名店だ。明日花と咲人は車を降りると、その店の雰囲気についてひとしきり会話してから、静かにドアを開け店内に姿を消した。