今年初めて東京都立高校の入試で導入される英語スピーキングテスト「ESAT-J」。すでに都内の公立中学に通う3年生、約75,000人が受験登録を終え、11月には試験が実施される。しかし、依然として都議会でも議論が落着せず、導入に反対する保護者らによって署名運動も行われている。

 そんなESAT-Jについて、英語教育の専門家である東京大学の阿部公彦教授が「週刊文春」の取材に応じ、「本来の『話す力の向上』という目的からは外れている」などと、試験のもたらす効果について疑問を呈した。

「使える英語力の育成を目指す」との目標を掲げて導入されるESAT-J。受験するのは、東京都内で公立中学校に通う3年生だ。今年の都立高の入試から、その点数を合否判定に使用することが決まっている。

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東京都教育庁のHPより

 都議会では小池百合子知事が創設した都民ファーストの会が導入賛成の立場。一方、立憲民主党は反対を表明し、今年度は入試の評価に反映しないよう求める条例案を提出していた。そんな中、9月15日にはESAT-Jをめぐって1人の議員が文教委員会から外される“騒動”も起こっている。

「(都民ファの)森愛議員は立民の条例案に賛同する意思を示していたため、都民ファが彼女を文教委員会から排除したのです」(都政担当記者)

小池百合子都知事 ©️共同通信社

 各所に波紋を呼んでいるESAT-Jだが、実は複数の英語教育の専門家から、試験の意味や効果に関して、指摘が相次いでいる。

 その1人が東大で英米文学を専攻する阿部教授だ。ESAT-Jの「質の問題」を阿部教授はこう指摘する。