2月3日夜、記者団に対して、LGBTQなど性的少数者や同性婚のあり方を巡り、差別的な発言をした岸田首相秘書官の荒井勝喜氏。経済産業省出身の荒井氏は、記者団の取材に、LGBTQなど性的少数者を「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいたら嫌だ」などと差別的な発言をした。進退問題に発展するのは必至とみられる。

 荒井秘書官はいったいどのような人物なのか。荒井秘書官について報じた「週刊文春」掲載記事を特別公開する。(初出:「週刊文春」 2022年4月14日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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 卒業式を終えた早大生たちが赤ら顔で練り歩く夜の東京・高田馬場。酔客が行き交う駅前ロータリーで怒号が響き渡ったのは、日付を跨いだ3月26日未明のことだった。5、6人の警察官を相手に大立ち回りを演じていたのは――。

 関係者が“事件”の顛末を明かす。

「深夜1時半過ぎ、タクシーの乗車を巡り、早大4年の学生と20代の会社員との間でトラブルが発生したのです。つかみ合いの末、交番から警察官が駆けつける事態に。会社員が『イヤホンを壊された』と主張したため戸塚署で双方の事情聴取を行うことになった」

 そんな中、興奮しきった学生の口から飛び出したのは、こんな発言だった。

「俺の親父は総理秘書官だぞ! お前ら、所轄のお巡りは高卒だろ!」

 それから数十分後、同署に駆けつけ深々と頭を垂れたのは、経産省出身の荒井勝喜(まさよし)総理秘書官(54)だった。

荒井秘書官

53歳で商務情報政策局長に抜擢

 荒井氏が岸田文雄首相に秘書官として呼ばれたのは、昨年10月。経産省関係者が証言する。

「政務の首席秘書官を務める嶋田隆元経産次官の下に6人の事務秘書官がいますが、中でも総理と過ごす時間が一番長く、出張にもよく同行し、さながら第二政務秘書官のようになっているのが荒井氏。総理が2008年に消費者庁設置に向けた担当大臣を務めた際、準備室の企画官として仕えた頃からの縁もある。昨夏には他の局長よりも若い53歳で商務情報政策局長に抜擢され、91年入省組では断トツの次官候補。経産省初の私学出身次官になると目されています」

岸田首相

 荒井氏は、横浜市立南高校から早大政治経済学部に進学。入省後は順調に出世した。