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「左のライアン」から「高橋奎二」へ 二軍のアイドルでは終われない

文春野球コラム ウィンターリーグ2017

2018/02/02
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「二軍のアイドル」では終われない

 高橋は、自分のことを「気分屋」と称する。気持ちが顔に出るタイプでもある。楽しい時には本当に楽しそうな笑顔を見せ、凹む時も分かりやすい。ただ、投球に関していえば、単に「気分」というよりは、自分の「感覚」を大事にしているように思う。プロ入りすぐの頃はワインドアップだったが、その後ワインドアップをやめた。何故やめたのかといえば「気分で」なのだ。その方がしっくり来たのだと。新フォームではそのワインドアップを復活させた。

変更後の投球フォーム ©HISATO

 高校の頃もその時々で変わることのある投手だったようだ。例えば審判の様子を見て少しフォームを変えることなど、あっさりと出来る方らしい。変化を恐れるわけではない。自分の感覚にしっくり合えばいい。新しいフォームを自分のものに出来れば、その時には充分力が発揮できるだろう。

 高津臣吾二軍監督は「いずれ投手陣の中心になる」と高橋を評価していた。故障中もそうでない時も、高津監督は何かと高橋に声をかけている。監督が話しかけ、高橋がリラックスした体勢のまま笑顔で応じるのは、最早戸田の名物だ。そのピッチングとともに、天真爛漫さ、愛敬のあるその笑顔を愛するファンは多い。しかし、「二軍のアイドル」では終われない。プロ入り3年目。もう後もなくなる正念場のシーズンだ。

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 この1月にはトレーナー研修に帯同して、2週間アリゾナのトレーニング施設へ派遣された。今後も体を大きく強くすること、怪我をしない体を作ることは最重要課題だ。この研修で得るものは大きいだろう。何とか上昇の切っ掛けにしたい。同行の寺島成輝、梅野雄吾は1年後輩の高卒投手だが、帰国後は浦添の一軍キャンプに入る。負けてはいられない。「アリゾナ組」の成長は、スワローズの未来を占う大きな鍵だ。

「左のライアン」から「高橋奎二」へ。今までを序章とするなら、これからが本当の始まりだ。高橋奎二はまだ変わっていく。異名のあるなしは関係ない。過去の自分を超える。それだけだ。

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