亡き妻・節子の田舎である鵜頭川村へ、3年ぶりに墓参りにやってきた岩森明と娘の愛子。1泊して帰る予定が運悪く豪雨に見舞われ、土砂崩れにより村は完全に孤立してしまう。同時に発見される村人の死体。その夜、鵜頭川村で何が起こったのか――。

 櫛木理宇さんの小説『鵜頭川村事件』を河野那歩也さんがコミカライズした同名漫画は、そんな不穏な展開から始まる。

『鵜頭川村事件』 ©文藝春秋

 原作小説のWOWOWオリジナルドラマ化に併せて描かれた本作は、文春オンラインで連続掲載した際にも多くの反響を呼んだ。

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「単行本の売り上げも上々です。文春オンラインでの連載途中に下巻を発売する試みをしたところ、連載の続きを読みたくて下巻だけ購入した読者が多かったようです」(コミカライズ担当編集Kさん)

『鵜頭川村事件』 ©文藝春秋

 物語は思わぬ方向へ進んでいく。殺人事件をきっかけに、村の有力一族とその他の村人の間で続いていた対立は激化し、年長者に虐げられ続けて鬱憤を溜めていた若者たちはクーデターを企てる。停電の中で起こる第二の殺人、レイプ事件……。いつどんな凶行が起こってもおかしくない状態で、幼い娘を抱えた岩森はどうなってしまうのか。

 そして、岩森が子どもの頃に恐れた“エイキチ”の正体とは——。

『鵜頭川村事件』 ©文藝春秋

「WOWOWオリジナルドラマは原作と違い、設定が現代になっていたり変更点が多かったのですが、漫画のほうの進め方は原作に近いと思います。特に“エイキチ”の使い方は漫画表現ならではの、『絵で怖さをみせる』方針になっているところに注目です」(Kさん)

鵜頭川村事件』(原作:櫛木理宇、漫画:河野那歩也)上下巻ともに2022年8月16日発売。