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時速50km近い高速でコーナーに進入するスケート選手たち

 とりわけゴーグルが重要な役割を果たしたのが、スピードスケート・小平のケースだった。

「小平選手は2008年ごろからサポートさせていただいていますが、2013年ごろに不調になってしまった時期がありました。そのとき、もしかしたら視力に問題があるのかもしれないと検査をして、アイウェアのレンズを度付きに替えたところ、コーナリングがスムーズになったそうです」(田中さん)

 スピードスケートでは、選手たちは時速50km近い高速でコーナーに進入する。風圧もすごい。氷の表面は光を反射する。そんなとき、選手の視野をガードするのがアイウェアの役割だ。

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ゴーグルが高速コーナーのカギに ©JMPA

「スピードスケートの代表選考会が行われた昨年末、小平選手から『ゴール地点の感覚がこれまでと違う』とご相談がありました。そこで、オリンピック直前のお忙しい時期だったと思うのですが、検眼検査にお越しいただき度数の微調整を行いました。結果、『バッチリです!』とのお言葉をいただきました。私たちとしても、金メダルを取るために微力ながら選手のサポートができたかなと自負しています」(同前)

まだまだメダル候補が

500mレース後の名場面 ©JMPA

 そして、同社製品の強みは、アイウェアに使用されるレンズや素材を製造する卓越した技術力にあるという。

「スポーツ・アイウェアは、顔面に合わせて湾曲した設計になっています。通常、度付きのレンズがカーブしていると、あまり品質の良くない製品の場合、視界がゆがんでしまったり、疲労につながります。ところが、私たちのレンズはカーブに合わせて厚みを補正しているため、裸眼と変わらないクリアな視界を得られるのです。情報の収集力が問われる高速コーナーでは、大きなアドバンテージになります。

 また、スピードスケートのスタート場面をご覧になればわかるように、下を向いた状態で激しく動きます。そんな場面でもフィットしたままズレないことも強みです」(同前)

 オークリーのサポート担当スタッフは、開会前の2月5日から現地入りして、選手が最大限の力を発揮できるよう試合までの調整に従事している。まだまだ熱戦が続く平昌オリンピック――ノルディック複合の渡部暁斗や女子パシュートの高木美帆ら、メダル争いをする選手たちの目元にも注目したい。

写真中央左のゴーグルが平野モデル、中央右が高梨モデル。市販もされている ©文藝春秋