2月18日、金メダルに期待がかかる中、見事オリンピックレコードでの優勝を決めた女子スピードスケート500mの小平奈緒。レース終了後に、ライバルの李相花(韓国)と抱擁を交わしたシーンは感動的だったが、あれっ!? ちょっと違和感が……。そう、4日前に行われて銀メダルを獲得した女子スピードスケート1000mで着用していたド派手なゴーグルをかけていなかったのだ。
「あの黒いゴーグルは、練習のときに使っていたものです。あまりに集中しすぎていて、レース用のゴーグルにかけ替えるのを忘れてしまったとご本人がコメントしていました」
こう語るのは、小平にアイウェアを提供しているオークリーのブランドコミュニケーションスタッフ・田中茉希さん。
あの高橋尚子選手のサングラスも
一般にはあまり馴染みのないブランドだが、アスリートの世界では以前から存在感が大きいという。眼鏡ライターの伊藤美玲さんが解説する。
「オークリーは、スポーツ分野に強みを持つブランドです。もともとは、モトクロスのハンドグリップの開発から始まった米・カリフォルニア州発祥の企業で、その優れた素材技術をメガネの鼻パッドやテンプルに活用しているのです。耐久性が高いことから、世界中のスポーツ選手に愛用されています。特定の競技に偏っていないことも特徴です。
思い出に残っているシーンでは、シドニー五輪で金メダルを取った女子マラソンの高橋尚子選手が、ラストスパート直前に投げて話題になったサングラスもオークリー製でした」
野球のイチロー、ゴルフの松山英樹といった超大物アスリートも使っている。現在、サポート選手は400人を超えるという。
日本人メダリストも軒並み契約
今回の平昌オリンピックでも、平野歩夢(スノーボード・ハーフパイプ、銀メダル)、高梨沙羅(スキージャンプ、銅メダル)、渡部暁斗(ノルディック複合ノーマルヒル、銀メダル)、高木美帆(スピードスケート1500m、銀メダル。1000m、銅メダル)ら、日本のメダリストの大半が同社の契約選手だ。
競技は違えども、「ハーモニーフェードコレクション」と名づけられた特徴的なオレンジと黄色のカラーリングは、どのアイウェアにも共通している。
「オレンジは選手のうちに秘めた情熱、イエローは勝利への道を照らす太陽を表現しています。これまでも弊社のゴーグルを着用された選手が活躍される場面は多かったのですが、色合いが派手だったこともあってか、今回はいつも以上に問い合わせが多いです」(田中さん)という。