5月、長野県中野市で、通行人の女性2名と男性警官2名が殺害された事件。自宅に猟銃を持って立てこもり、警官1名を殺害した疑いで逮捕されていた青木政憲容疑者(31)が、もう一人の警察官の殺人容疑で6月16日にも再逮捕されると報じられた。

  のどかな山間部の集落を恐怖のどん底に叩き込んだ猟銃立てこもり事件は、どのように起き、事態はどう推移したのか。

 文春オンラインが追った、緊迫と恐怖の半日の模様を再公開する。(初出:2023年5月25日。年齢、肩書は当時のまま)

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 長野県中野市で迷彩服に身を包み、警察官と女性合わせて4人を次々に襲撃、民家に立てこもり逮捕された青木政憲容疑者(31)が27日午後、殺人容疑で送検された。

散歩していた女性2人、警察官2名を襲撃

 社会部記者が解説する。

送検される青木政憲容疑者 Ⓒ共同通信

「これまでの警察の調べに対し、青木容疑者は容疑を認めているといいます。亡くなった4人のうち、女性2人は散歩仲間で、青木さん一家が住んでいたあたりを散歩コースにしていたようです。青木容疑者は、話しながら歩いていた2人が自分の悪口を言っていると思い、殺したと供述しています。女性2人と面識があったのか、具体的なトラブルがあったのかはまだ分かっていません。

 通報を受けて駆けつけた警察官2人を殺害した理由については、『ナイフで切ったから自分は殺される』と身の危険を感じて散弾銃を持ちだして撃ったという趣旨の供述をしています」

12時間立てこもった後、警察に確保され署に移送される青木容疑者 Ⓒ共同通信

 中学校の卒業文集には「自分が思う事」という題の作文で、〈この世の中で最も大切なのは「命」だと思います〉と記していた青木容疑者だが、供述によれば、散歩していただけの無防備な2人をサバイバルナイフで襲い、さらに現場に駆け付けた警察官2人を散弾銃で撃ったことになる。