「ニュースで山下容疑者の顔が映った時、もしかしてと思ったんです。それで子どもに確認したところ予想通り、“やっちゃん”だというんです。事件の前から度々問題を起こす人物として近所では有名だったので、恐れていたことが起こってしまったと怖くなりました」
5月10日の早朝、東京都大田区西蒲田の住宅街で中学1年の男子生徒が胸部付近を刃物で刺されて重傷を負った事件。近隣に住む女性は、傷害の疑いで逮捕された山下泰範容疑者(61)についてこう回想した。
山下容疑者は事件前、被害者の父親が勤務する家電量販店に何度も訪れ、クレームを繰り返していたことが報じられている。カスハラの末に起きた悲劇とも思われる事件だが、取材を進めると山下容疑者が“少年”に対して異常なほどの執着を持っていたことが明らかになった。
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警察官をつかまえて2時間以上絡み続ける姿も目撃される
まずは、事件の概要を振り返ろう。社会部記者が解説する。
「山下容疑者は5月10日の朝8時頃、JR蒲田駅近くの住宅街で登校途中の男子中学生を刃物で刺し逃走。約10分後に現場付近を徘徊していたところを現行犯逮捕されました。山下容疑者は被害者の父親が勤務する家電量販店の常連で、両者には面識がありました。容疑者は父親を何度も指名して接客させ、クレームを続けるモンスターカスタマーだったといいます」
カスハラの被害は被害者の父親だけではなく、近隣の店舗にも及んでいた。警察官をつかまえて2時間以上絡み続ける姿も目撃されており、その“暴走老人”ぶりは近隣で知られていた。
暴走行為を繰り返していた山下容疑者だが、事件を起こす以前は子どもたちの間でちょっとした有名人だったようだ。事件現場となった住宅街とは駅を挟んで反対側にある公園Aでは、4年ほど前までは山下容疑者の姿をよく見かけたという。近隣の住民男性が語る。