コロナ禍をきっかけにアウトドア趣味として脚光を浴びている「釣り」。

 普段、OLとして働く“クール系女子”上条星羅の趣味は、一人で釣りに出かけること。女性の一人釣行は「微妙に興味の視線を感じる」ものの、「気にしなければどうってことはない」。なによりターゲットの魚を釣り上げたときの快感は「たまらん!!」の一言に尽きる。そんな女性アングラーを主人公にしたマンガ作品が『おひ釣りさま』だ。

©とうじたつや(秋田書店)

 本格派釣りマンガはどのように生まれたのか。原稿作業の合間には取材釣行に出向いている著者・とうじたつや氏に聞いた。

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辛い釣りのほうが記憶に残っています

――「釣り」をテーマにした作品を始めることになったキッカケを教えてください。

「やっぱり自分が釣りをやっていた、というのが一番の理由です。僕はバス釣りをメインにやっていたのですが、連載に向けての企画を考えるときに、ある程度経験と知識があるものがいいだろう、ということで始めました」

――主人公・上条星羅のキャラクターはどのように誕生したのでしょうか。

「担当編集者さんと相談しながら考えました。最初はおじさんを主人公にしたり、その後女性にしたりして試行錯誤していたのですが、編集者さんから『クール系の女性キャラにしてみたらどうでしょうか?』という提案をいただき、それを元にキャラを練ってネーム(絵コンテ)にしたところ、しっくりきたという感じです。

『おひ釣りさま』第1巻

 決まったモデルというのはいないんですが、色々な漫画やアニメのクール系キャラを参考にしたり、実在の人物だと、女優の栗山千明さんや真木よう子さんをイメージしてキャラを固めていきました」 

――『おひ釣りさま』の単行本では、取材エピソードがこぼれ話として書かれています。最近印象に残っている釣行があれば教えてください。

「やっぱり楽しい釣りより、辛い釣りのほうが記憶に残っています。最近だと真冬のフグ船で極寒の風に吹かれて、『帰りたい』を連呼しながら釣りをしたことが一番の思い出です(笑)」

――今後、個人的に釣りたいターゲットはありますか。

「取材で釣れなかった魚は全部リベンジで釣りたいというのがあるんですけど(笑)、個人的には湖にボートを浮かべて、でっかい野ベラ(野生のヘラブナ)を狙ってみたいです」

©とうじたつや(秋田書店)

――『おひ釣りさま』は、フィールドやターゲット、釣り方のバラエティが豊富です。普段はどのように釣りについての情報を収集されているのでしょうか。

「基本的にはネット記事や釣り関連の動画などですが、毎回いろいろと調べていると、その中で別の釣りや魚を発見して、『こんなのもあるんだ』という感じでつながっていく、みたいな流れも多いです。『おひ釣りさま』は話の形式上、マンネリ化しないように同じターゲットでも釣り方や時間帯、季節やフィールドを変えるなどバリエーションを出すように気をつけています」

 最新刊の10巻では初めての「釣りキャンプ」に挑戦するなど、「おひとりさま釣りスタイル」はますます進化している。この作品を読めば釣りがうまくなる(かも)。