ここで、突然ではあるが、「メントスコーラ」を思い浮かべてもらいたい。ペットボトルに入ったコーラにメントス数粒を投入した際に急激に炭酸が気化し、泡が一気に数メートルの高さまで吹き上がるもので、メントスガイザーともいわれる。
2019年前後からユーチューブを中心にメントスコーラ実験を行う動画が流行し、2020年以降、コロナ禍でステイホームが強いられるなかでも手軽にできる遊びとして様々なSNSでその様子が投稿されるようになった。そのため、メントスコーラを実際にやったことはなくとも、起こる結果を知っている人は多い。ただ、大多数の人は、「面白そうだな」と思っても、結果がわかっていることを自分で改めてやろうとはしないのではないだろうか。
モノを購入することで得られる幸福感よりも効用を重視
SNSに投稿があふれているものは、再現性が高いということを意味する。言い換えれば、誰がやっても同じような結果が出るものである。前述の通り、若者にはお金に余裕がないという状況がある。魅力的にみえるものの消費の結果がわかれば、自身の消費を回避でき、代わりに、わざわざ自分が消費したいと思うモノを探究できるようになる。
ましてやネットのブームのサイクルは早い。皆がやっているからとやっても反応は薄いし、ブームが過ぎた頃にやれば今更感が生まれてしまう。もちろんSNSに投稿しなければよいだけなのだが、SNSは自身の消費記録であったり、アルバム代わりだったり、自己肯定感を高めるモノだったりする。SNSに投稿しないと(可視化されないと)、その消費は「していないこと」と同じになる。つまり、「他人を意識して消費がされる」という消費文化が深く根付いている。
そして、サブスクリプションやフリーミアムなどを利用し、必要なモノを購入せずに目的を達成するという価値観を持つ消費者は増えている。それは、モノを購入すること自体から得られる幸福感よりも、モノを購入することで得られる効用を重視していると理解できるのではないだろうか。