文春オンライン

鉄オタ崩れの「珍撮団」には億単位の損害賠償を求めるべき…鉄道ライターが「スシローに学べ」というワケ

source : 提携メディア

genre : ライフ, 社会

note

鉄道趣味で言うと、撮り鉄は狩猟、きっぷや鉄道部品コレクションは「採集」、鉄道模型は「栽培」となる。私のような乗り鉄はどれかと言えば「採集」に近い。「○○へ行った」「○○を見た」という経験をコレクションしている。地図帳で乗った路線を塗りつぶしていき、全路線の乗車記録をコンプリートした。新路線が開業するたびに乗りに行き、乗車記録を増やしている。そこまでしなくても「起点から終点まで乗りたい」とか、「特急列車や観光列車に乗りたい」などの経験を求めて動く。

和気あいあいとした撮影現場が一変

どんな趣味も必ず代償行為の要素はある。あなたの趣味も「狩猟」「採集」「栽培」のどれかに当てはまるだろう。そこに考えが至れば、撮り鉄の行動を理解できると思う。カメラを持った人々が集まれば奇異に感じるかもしれないけれど、たいていは譲り合って和気あいあいとしている。周囲への配慮もできている。年配者が若者にアドバイスし、マナーを示してみせるという場面もある。

そして、これも趣味の分野を問わないけれど、母数が増えると問題行動を起こす人が現れる。撮り鉄も数が増えれば競争が始まる。「もっと近寄りたい」「対象以外の人やクルマなどで遮られたくない」「いっそ列車を停めれば撮りやすい」とエスカレートしていく。こうして他人に迷惑をかける「珍撮団」が発生する。

ADVERTISEMENT

罵声を浴びせれば恫喝となるし、鉄道敷地や民有地、田畑など他人の所有地に入れば不法侵入だ。勝手に木を切れば器物損壊である。犯罪者だ。列車を停めれば鉄道営業法違反、往来危険罪、威力業務妨害罪だ。

珍しい臨時列車を撮るためにプラットホームの端にいる珍撮団は「われわれはきっぷを買ってここにいる客だ」などという。しかし、鉄道事業者の客は、通勤・通学・旅行などの所用で列車を利用する人々、貨物列車の荷主である。珍撮団の被写体となるために走っているわけではない。アイドルビジネスはファンのために活動し利益を上げるけれど、鉄道とファンの関係は違う。これはすべての鉄道ファンが心掛けてほしいことだ。