そこは社長もガンとしてゆずりませんでしたね。仕方ありません。私も、どうにかして社長の求めている「甘え声」を出そうと、自分の中にある「甘えた」部分を思い切りかき集めて作っていきました。
いろいろ試行錯誤してみた末に、声のキーを2オクターブくらいあげてやってみると、ちょうどいい「甘え声」になるのを発見したんです。印象的で、そんなに極端にイヤミっぽくもなく。社長も「それそれ」と満足そうでした。
もしかしたら男性が女性のいる店に行って、たくさんおカネ使っちゃうのも、この「甘え声」が聞きたいからなんじゃないかしら。
社長と2人で出張に行くことも
社長と一緒に食事に行ったりするようになったのは、こうして「コンビ」でCMを撮るようになってからです。夢コンサートだけではなく、通販商品の移動販売のようなミニイベントをやったり、お祭りなどで呼ばれたりすると、私と社長の二人で移動して、東北地方を2泊3日、なんてよくあるわけです。
ところが社長は、「経費のムダ」なのか、運転手さんを雇わない。車の運転は、社長の車や、時にはレンタカーを借りて、社長と私とが交替で移動します。荷物でも、社長がトランクに詰め切れないものがあったりすると、
「あ、キミのトランクに入れといて」
って平気で言う。「ぼくはキミを売り出すためのマネージャーになる」はずだったのが、いつの間にか、私が社長の「付き人」になっちゃってる。そのかわり私もつい言ってしまいます。
「私も荷物を制限して持ってきているので、詰め切れない分まで持って来ないでくださいね!」なんて…。
最近は、まわりで社長に口答えするような社員はほとんどいないのに、私って、こうした方がいい! って思うとつい言ってしまうんです…。OL時代でも、上司が間違っていると思うと、「それは間違っているのでは?」と言ってしまって…。かわいくないですね。