不退転の覚悟で今季に挑んでいる男がいる。開幕戦から4番に座る山川穂高選手だ。

 昨シーズン途中から一軍に定着し、最終的に78試合に出場。打率.298、23本塁打、61打点とキャリアハイの成績を残した。9月からは4番で起用され、8月度、9・10月度と、2カ月連続で月間MVPを受賞。さらに、シーズン終了後に行われた『2017 アジア プロ野球チャンピオンシップ』の侍JAPANメンバーにも選出され、4番を任された。

 それでも、そうした数字や活躍はすべて後半戦からのもの。「真の4番打者というのは、シーズン通してだったり、何年にもわたって4番に座り続け、圧倒的な数字を残す選手」との持論を持つ山川選手は、昨季中に「僕はまだ、4番ではない。“4番目”の打者」と言い続けてきた。もちろん、その持論は今も変わらない。ただ、同時に「将来は4番になりたい」との思いは、入団時から常に強く胸に抱き続けてきたのもまた事実である。

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今季、開幕から4番に座り続けている山川穂高 ©文藝春秋

本当の意味での4番打者への挑戦

 そして、いよいよそのスタートラインに立つ時が来た。昨季本塁打率10.52(本塁打1本打つのに要した打数。15.0以下で30本塁打以上と言われる)という驚異的な数字を残し、「ホームランを打つ感覚」をつかんだ確かな手応えを自信に、年明け早々から「開幕から4番、レギュラーを目指したい」と公言した。

「うちのチームでは与えられての4番はありえない。4番を打てる人がたくさんいる中で、争って、結果を出して、4番を勝ち取っていきたい」と、キャンプでは、第1クールのフリー打撃から柵越えを連発。紅白戦、オープン戦と、4番で起用される中、とにかく必死にアピールを続けた。そして、開幕戦、スターティングメンバーの4番には『山川』の名があった。

「ずっと打ち続けて、何年も結果を出して、大事なところで打つから4番。何年もホームラン王を獲って、打点王を獲って、初めて『西武の4番は山川』ってなると思う。いま、『西武の4番は中村(剛也)だ』となっているのは、まさにそういうことだと思います」

 ここから、本当の意味での4番打者への挑戦が始まることを、山川選手自身が一番感じているのである。

『4番バッター』

 小学生の頃から、中学、高校、大学、そしてプロに入ってからのファームまで、ほぼ不動のポジションだったという。「僕が打てずに負けたら、『4番のせいだ』と言われ続けた中でやっていた」からこそ、並々ならぬ責任感と思い入れ、そしてプライドを持っている。以前、その胸の内にある4番への思いを聞かせてくれたことがある。